製氷皿

製氷皿

たとえば腕時計やカバンのように、毎日のふれあいのなかで自然と馴れ親しんでいくモノとは違い、製氷皿とはたまにすれ違ってかるく会釈する程度の間柄。なにせ彼とは住む世界も生き方も、まるっきり違うのです。
 とはいえ「氷」という絆で結ばれた私達。優しく掴んでひねってやるとバキバキバキ! と産声あげて、生まれる「氷」は14つ子。私と製氷皿の愛の結晶です。でもその愛は、決して滾りたつようなものではなくしんまで冷えた製氷愛。いわゆる大人の関係ってやつです。