バスの補助席

バスの補助席

キャビアにシャンパン、革張りのリクライニングシート。上質
なサービスを満喫したファーストクラスのフライトを終えて、
空港から乗ったリムジンバスで補助席が回ってくることもある
でしょう。座ってみるとわかります。左右にならんだ乗客達と
の孤立、前後につらなる補助席の乗客との連帯感。なんだかす
こし背が低い感じもするし、外の景色も見にくいですが、すく
なくとも立って乗るよりはマシででしょう。と気持ちの整理を
つけながらバスの出発を待っていると、最後部に座ったご老人
が立ち上がる。「ちょっと忘れ物を思い出して。降ろして下さ
い」。通路を陣取る補助席の乗客達はドミノ倒しのパニック状
態。バタンバタン!と補助席の悲鳴がバス内に響きわたる。同
じ料金払ってるのに、この不公平感はどうしたものか。いや、
補助席自身にはなんの罪もないのだが・・・。
 それにしてもなぜバスにだけ補助席があるのでしょう、不思
議です。常に不測の事態に備えておこうとする人間の用心深さ
から生まれたものか?  定員数をかさ上げしようとするバス会社
の商売魂から生まれたものか?  いずれにしてもあると便利なこ
とには間違いありませんから、たとえば公園のベンチにも、あ
るいは教室のみんなの椅子にも、もしかすると社長室の椅子に
だって、補助席はあってよいのかもしれません。