ミッドナイトスワン|凪沙の最後の死因は手術の後遺症?なぜ死んだのか考察

2020年9月25日から公開された「ミッドナイトスワン 」。
興行収入は3億円超えで、海外も大注目の本作です。

主演は 草彅剛 。
挑戦するのは凪沙というトランスジェンダー。

ラストには、性別適合手術による後遺症によって命を落としてしまいます。
まともな職につけず、金銭的に安価な手術を受けることしかできませんでした。

 

本記事では、「考察!凪沙の最後の死因とタイトルの意味は?」と題し、

・凪沙のラストの展開はどうなるのか
・なぜ死んだのか?
・死因は何だったのか?
・またタイトルの意味はある?
・赤い靴や服装について
・アルレキナーダ(アレルキナーダ)について

ということについて考察、解説していきたいと思います。

 

この記事で分かること
  • 死因は手術によるものだったのか
  • 一果の「母」になれなかった凪沙の気持ち
  • タイトルに意味はあるのか
  • 「アルレキナーダ」について
  • エンドロール後のワンシーンについて

 

ミッドナイトスワン|最後の死を考察!凪沙の死因は?

 

一果の「母」になろうとした凪沙の物語

まず、ラストの海岸のシーンに至るまでの展開を振り返って行こうと思います。

 

凪沙は映画後半で一果のバレエ費用を稼ぐべく、ショーパブ以外での仕事を始めることにないます。ホルモン治療の副作用で弱っている体に鞭打ちながらも一果のために働き続けます。それはまるで我が子に尽くす「母」のようでした。

一果は、そんな凪沙の支えもありバレエを続けることができ、バレエ発表会に出場します。しかし、一果は舞台で白鳥の湖を踊れず「母」を求めます。そこに駆け寄るのは凪沙ではなく、実の「母」こと早織でした。

それを見た凪沙は会場を後にします。これは、恐らく凪沙が「母」になる決意をしたのだと思います。

彼女はタイに向かい、現地の病院で性別適合手術を受けます。

帰国した彼女は、一果を迎えに広島の実家に赴くが、母親には泣かれ早織からは化物扱いされて彼女は広島を後にします。

 

時が経ち、一果は中学を卒業し、海外のバレエ学校に進学できることになりました。その前に、彼女は東京にいる凪沙を訪れます。

そこでは、視力を失い、患部から出血をしてオムツを履かざるを得ない悲惨な凪沙の現状がありました。

彼女の願いを聞き、一果は彼女と海に向かいます。そして、一果の踊りを観た凪沙は静かに息を引き取ります。

なぜ彼女の患部は悪化したのか?

 

性別適合手術は、術後の合併症や副作用もあり術後も治療が必要な場合があります。

映画における凪沙の症状を見る限り、何らかの合併症により視力を失い患部からの出血が起きていることが推察されます。

 

では、なぜここまで悪化してしまったのか?

考えられるのは、金銭面と心理的な問題です。

 

映画の前半では、彼女はお金に困窮している上に職場の同僚にお金を貸していました。

返してもらったかはどうかは不明ですが、満足なお金がない状態であることはわかります。そのため、渡航費用と手術代でお金を使い切り、術後の治療費を十分に払えなかった可能性が高いです。

 

また、身体的にも「女」になることで「母」になれると思った彼女は、実家で全てを否定され一果も取り戻せなかったのです。

「母」になるという彼女の生きる目的を失ってしまいました。

 

絶望し自暴自棄になったために、治療を受けようともせず、結果的にあのような状態にまでなってしまったのだと思います。もしかしたら、死すらも考えていたかもしれません。

 

よって凪沙の死因は、術後の合併症と考えらます。

そして、その背景には彼女の追い詰められた社会的立場や心が深く関わっているのだと考えられます。

 

救いなのは、彼女は紛れもなく「母」でした。ラストの海岸にて、一果の成長を知った時、自分が「母」であったことを感じて穏やかに息を引き取れたのだと個人的に思います。

何とも切ないシーンです。

ミッドナイトスワン|タイトルの意味は?

出典:映画ログプラス

 

夜に踊る白鳥の呪いが解ける物語

白鳥の湖は、バレエ素人の自分ですらも名前を聞いたことのある有名な話です。

悪魔により白鳥になる呪いのかかった姫が夜にだけ人間の姿に戻り踊ることができます。その姿に惚れた王子だが、瓜二つの黒鳥に王子は騙され、最終的には姫は呪いを解く方法がないと悟り、王子と共に湖に身を投げ入れるのでした。

 

凪沙はトランスジェンダーとして昼の世界で働くことはできませんでした。それは、社会がトランスジェンダーを受け入れられず、人々からは笑い者にされるからです。

一果もまた同様に、母親からのDVやネグレクトにより自分の感情を上手く口に出すことができくなっていました。

 

2人とも昼の世界、つまり一般的な人間社会の中では孤立していました。そんな彼女たちは夜にだけ「本当の自分」として生きていられるのです。だからこそ惹かれあい、「家族」になり得たのでした。

 

タイトルの「ミッドナイトスワン=真夜中の白鳥」は、夜にだけ「本当の自分」として輝く彼女たちを表しているようです。

 

映画のラストは、見事アメリカのバレエスクールに進学した一果が、白鳥の湖を踊るシーンで終わります。

それは、亡き凪沙や鈴華(明言はされてないが恐らくレズビアンである)たちに捧げるレクイエムであり、彼女達の分まで世界を生きると決めた一果なりの決意でもあるのです。

彼女は間違いなく美しい「白鳥」です。そして、彼女は夜だけでなく陽のあたる世界でも生きていることが凪沙が生きてきた証にもなるのです。

バレエ舞曲「アルレキナーダ」について

 

バレエ舞曲「アルレキナーダ」とは、振付家マリウス・プティパの最後の作品です。
彼はフランス人バレエダンサーでもあり、台本作家でもあります。

クラシック・バレエの基礎を築いたといってもいいでしょう。

ネット上では「アレルキナーダ」との言葉も存在しますが、原題はHarlequinade
アルレキナーダ」のほうが発音としては近いかと思います。

アルレキナーダの意味は、「道化、道化役者、茶番」。

 

どんな物語かというと…

 

・娘のコロンビーヌ
・父のカサンドル
・父カサンドルが娘コロンビーヌと結婚させようとしている金持ちのレアンドル
・娘コロンビーヌの恋人であり道化役者のハレルキン

 

コロンビーヌとハレルキンは父の目から逃げるように夜中にデートを重ねる。

 

ところがカサンドルの召使いに見つかりハレルキンを窓から投げ落とされる。

コロンビーヌが悲しみに暮れる中、女神が現れハレルキンを生き返らせる。

 

「宝の杖」という何でも願いが叶う杖を女神から受け取る。

コロンビーヌは宝の杖で不運を回避し、たくさんの金貨を手に入れる。

 

それを見たカサンドルはすっかり態度を変え二人を祝福。

友人や街の人達に祝福されにぎやかな結婚式をする。

 

※アルルカンなど人によって違うことがあります

 

 

一果はコンクールで踊り、りんはひとりで踊る。
二人の運命はまさに対照的ですね。

 

 

本作のバレエを監修された千歳美香子さん。
素敵な裏話を話されています。

アルレキナーダのシーンは何度見てもゾクゾクします。

 

エンドロール後のワンシーンについて

 

エンドロール後のワンシーンについて様々な考察が飛び交っているようです。

 

追いスワンをしている人の中には、受胎告知のと酷似を強調している方もいました。

赤い靴赤い服の凪沙と、青い服の早織が一致しているとのことです。

ミッドナイトスワン|考察!凪沙の最後の死因とタイトルの意味?のまとめ

 
いかがでしたでしょうか?
 
 
本映画では、誤解している人も少なくないトランスジェンダーの方達の、日本社会における立ち位置を映しているそうです。ですが、物語の根底には、否定され続けた人が立ち直るまでの話、というもっと普遍的なテーマがありました。
 
凪沙の絶望は、母親に「私は病気じゃない」と伝えたところに集約されていて、そこからの凪沙の結末と最後の白鳥の映像がなんとも悲しかったです。
 
「白鳥の呪い」がなくなる日が、いつかくるのでしょうか?
 
 
一果の踊りには、そんな日がくるのではないかと、希望が込められているように感じました。
 
 
 
以上、「ミッドナイトスワン|考察!凪沙の最後の死因とタイトルの意味は?」についてご紹介しました!

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

コメント

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  5. inoue より:

    一果が母親とまた暮らすようになって不良グループとつるみ、リスカもしていた
    母親も相変わらず金に困ってそうだった
    それが卒業式のときは普通の友達がいて、母親も金髪だったけどまともな格好してどこか余裕があった
    しかも金がかかるバレエも続けられた その金はどこから来たのか 海外の学校から奨学金もらえるってことは活動は頻繁にしてたはず
    一果が凪沙を訪ねたときたしか「女を維持するメンテさぼっちゃった」的なこと言ってた気がする
    金は一果に使ったんじゃないかって その結果術後の十分なケアができず最期は・・・って自分は思ってました

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