劇団前方公演墳という小劇場で2004年の初演から4度の再演を重ねた人気作品が、クラウドファンディングによって映画化されました。
舞台のキャストや監督はそのまま映画版でも務め、戦後を強く生きる娼婦たち“パンパンガール”を描いています。
劇団の20周年である2018年に新宿K’sシネマで公開され、話題を呼んで各地のミニシアターで再上映されました。
キャストたちが自らロケ地を巡り、バラック小屋を建て、美術セットも調達し、シナリオを書き、低予算でわずかな日程で撮影された「セブンガールズ」。
その気になる内容を見ていきましょう。
セブンガールズ - あらすじ
夢も希望も恋さえも贅沢とされた戦後、まだアメリカ軍の支配を受けながら、家族の命を奪った彼らに身体を差し出しお金を得る娼婦たちがいた。
彼女たちのことを人は蔑んで“パンパンガール”と呼んでいた。
戦争孤児や戦争未亡人、行くあてのない8人の女たちが集まり、助け合いながら生きていた。
仲間が落ち込んだり、辛いとき、いつか来るはずの明日を信じて彼女たちは歌った。
あるはずのない幸せや愛、男たちの野心に翻弄されながら・・・
セブンガールズ - ミニシアターに無料提供になった理由とは?
本作はミニシアターから上映され、各地のミニシアターで広まった作品です。
その恩返しという意味もあり、コロナ感染拡大の影響で危機的状況のミニシアターを救済する目的で、「セブンガールズ」はミニシアターに無料提供されます。
本来ならば、興行収入の50%が上映館への売り上げとしているところを、今回は興行収入のすべてを寄付するとのことです。
緊急事態宣言や自粛要請が出て、映画を観に行く人が少ないどころかそもそも休館になっている全国の映画館。
ミニシアターともなればすでに閉館に追い込まれているところもあり、深刻な問題です。
緊急事態宣言は5月6日までですが、この3週間で果たしてその日を過ぎて自粛が終わるのか・・・
宣言が明けたあと、まず人が来るかもわからないし、上映作品や目玉作品がなければ映画館を開けていても、売り上げに繋がらないという現実が待っています。
「セブンガールズ」はインディーズムービーといえど、1週間だけの上映のはずが再上映を重ね、2020年の1月や2月にも上映が決まっていた人気の映画なので、これからの上映の動きに注目していきたいと思います。
ミニシアターを救う動きはありますが、まさに「セブンガールズ」の女たちのように、たくましく明るく生きていてほしいと思います。
セブンガールズ - 感想・評価・考察
登場人物が多く、みんな個性豊かな女性たちであるということは、本作の魅力の一つです。
恋人を待ち続ける真知、勝気だが声を失った妹を養う猫、誰にも言えない秘密をもつマリアに、客が取れない郁子など・・・
他愛もない日常的な会話の中に彼女たちの個性が溢れ、苦しいことも支えあい、歌い、笑う、明るい仲間たち。
そんな彼女たちから力をわけてもらえる作品だと思います。
本作の特徴としては、長回しの撮影です。
なんと撮影はたったの5日ということですが、カメラを固定しクレーン操作で一気に撮り終えることで、経費の削減ができました。
しかしその長回しによって、舞台を観ているような臨場感や緊張感が際立ち、より近く、より感情移入できる効果があったのではないかと思います。
舞台ではカットのかからない演技をするわけですから、劇団の皆さんの得意とするところです。
ただ、固定カメラや引きのシーンが多く、映画としては少し違和感が残るかもしれませんね。
Twitterでの口コミをみていても、繰り返し見に行く人が多い作品のように思います。
映画からも伝わる劇団の雰囲気はもちろん、ミニシアターならではの距離感や主題歌の「星がいっぱいでも」の虜になっていて、もう一度観たいと思わせてくれるようです。
セブンガールズ - まとめ
登場人物やキャストたち自体に熱量を感じ、感動し、観た人が元気になる映画です。
作中の登場人物を応援していると、映画自体も応援したくなる・・・そうして再上演の声が次々とあがるのでしょう。
残念ながらコロナウイルスの影響で「セブンガールズ」の波が止まってしまったけれど、逆境を乗り越えていく彼女たちのストーリーは、今に通じるものであり、必ずまた脚光を浴びる映画だと思います。
「この世界の片隅に」や「カメラを止めるな」のように、大きな劇場やテレビでの放映をされる未来があるかもしれません。
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