1998年に製作されたイタリアの映画「海の上のピアニスト」。
「ニュー・シネマ・パラダイス」に続きジュゼッペ・トルナトーレ(監督)とエンニオ・モリコーネ(音楽)のタッグで作り出された本作品は、生涯船を下りなかった1人のピアニストの物語です。
ティム・ロスが演じる主役1900(ナインティーンハンドレッド)の人生がとても切なく、エンニオ・モリコーネの楽曲がそのストーリーに感動的に寄り添う、名作です。
この記事では、「海の上のピアニスト」のあらすじをご紹介し、結末について解説していきたいと思います!
・船の中で生まれた1900
・たった1度の恋、届けられなかったレコード
・88鍵の限りある世界で生きた男の最期
海の上のピアニスト丨予告動画
海の上のピアニスト丨作品情報
タイトル | 海の上のピアニスト |
原題 | The Legend of 1900 |
日本公開日 | 1999年12月18日 |
上映時間 | 125分 |
ジャンル | ドラマ |
監督・脚本 | ジュゼッペ・トルナトーレ |
製作 | フランチェスコ・トルナトーレ |
製作総指揮 | ローラ・ファットーリ |
製作国 | イタリア |
配給 | メドゥーサ・フィルム/アスミック・エース/日本ビクター |
海の上のピアニスト丨主な登場人物(キャスト)
1900:ナインティーンハンドレッド(ティム・ロス)
ヴァージニアン号の中に赤ん坊のまま置き去りにされ、それから生涯船の中でピアニストとして生きている男。
マックス(プルイット・テイラー・ヴィンス)
トランペット奏者。バンドのメンバーとしてヴァージニアン号に乗り、そこから1900の友人となります。
少女(メラニー・ティエリー)
1900が一目惚れした少女。
ダニー(ビル・ナン)
船の整備士として働く男。ある日置き去りにされた1900を見つけて引き取った、1900の育ての父親です。
ジェリー・ロール・モートン(クラレンス・ウィリアムズ3世)
自分こそが「ジャズ」だと豪語するピアニスト。繊細な演奏で人々の心を掴む、世界的に有名な人物です。
海の上のピアニスト|あらすじネタバレ紹介
海の上のピアニスト丨あらすじ 【起】
1946年、第二次世界大戦後の世。
とある楽器屋を1人のトランペット奏者が訪れ、金をつくる為に大切な楽器を売りに来ました。彼の名はマックス。
人生を共にしてきた楽器との別れを惜しみ、店主に「最後に1度だけ吹かせてくれ」と、ある曲を演奏し始めました。
その曲を耳にした店主は驚き、つぎはぎだらけの古いレコードを流し始めます。その曲はまさに今マックスが吹いた曲と同じメロディで、ピアノの演奏のものでした。
この店に流れ着いた古いピアノの中に隠してあったレコードだという店主。
マックスはここにそれがあったことに驚きながら、とある1人のピアニストについて語り始めるのです…
時は戻り、1900年。豪華客船ヴァージニアン号の中。
ある時、ダニーという船の整備士が、客室のグランドピアノの上に産み捨てられていた赤ん坊を拾います。
家族のいないダニーは、時代の節目であるこの1900年にちなみ、彼を「1900」と名付け、とても大切に育てました。
しかし、1900がまだ幼いうちに、仕事中の事故でダニーは急死してしまいます。
悲しむ1900は、葬儀で聞こえて来た「音楽」に興味を持ち、それから船内のピアノをこっそり弾くようになるのです。
海の上のピアニスト丨あらすじ 【承】
それから27年、マックスはヴァージニアン号にトランペット奏者として乗り込み、そこで2人は出会いました。
生まれて一度も船を下りたことがない1900に驚きながらも2人は意気投合し、仲良くなります。
船内での演奏でいつも共演しているマックスは、1900のピアノの腕前を称賛していました。
そんなある日、1900の噂を聞きつけてある1人の男が船に乗って来ます。
音楽界の有名ピアニスト、ジェリー・ロール・モートン。彼はわざわざ1900にピアノバトルを申し込んできたのです。
最初は勝負事に乗り気になれずに茶化していた1900ですが、最後には人間技とは思えない指さばきで大曲を披露。
そこにいた全員が言葉を失うほどの演奏で、1900はジェリーを打ち負かしました。
すごすごと船を下りていくジェリーを甲板から見ていた1900はひとこと、「くたばれ、ジャズ」とつぶやくのでした。
海の上のピアニスト丨あらすじ 【転】
そんなこともあり、今度はレコード会社の人間が、また船を訪ねて来ます。
ぜひ1900のピアノの演奏をレコードにして売りたいということでしたが、商売に全然興味がなく乗り気ではない1900は、詳細の話も聞かずにとりあえず曲を演奏し始めます。
ポロポロと奏でながら部屋の窓から外を眺めていると、そこへ1人の少女が甲板を通りかかります。
1900はその少女に一目惚れをしたのです。
これまで船の上でずっと生きていた1900は、誰かに恋をしたこともありません。
想いをどう伝えて良いか歯痒く思っているうちに、少女が船から下りる日が来てしまいました。彼女が船を下りようとする直前、1900はなんとか話しかけます。
録音したものをふんだくって来たレコードを彼女に渡そうとしますが、人混みの中でうまく伝えられません。
彼女は1900に自分の家の住所を伝え、「いつか会いに来て」と言い、行ってしまいました。
渡せなかったレコードを割り、捨ててしまった1900ですが、ある時、彼女のために船を下りると決心しました。
1度も大地を踏んだことのない1900にとって船を下りることは一大事です。仲間たちはそんな彼の決心を喜び、見守ります。
しかし当日、タラップの途中まで下りて足を止めた1900は、アメリカの街をぼうっと見渡し、結局下りることなく船の中へと引き返していくのでした。
それから時は流れ、とうとうマックスも船を下りる時が来ました。
1900は一人、ヴァージニアン号に残りました。
海の上のピアニスト丨あらすじ 【結末・ラスト(ネタバレ)】
1946年、第二次世界大戦で朽ちたヴァージニアン号が、解体のために爆破されることになりました。マックスはそれを聞いて急いで船の中へと行きます。
どこかに1900がいるはずだと、マックスは店主から借りたレコードを真っ暗な船内で流しました。
すると、物陰から1900から現れました。
マックスは船から降りて一緒に音楽をやろうと説得しますが、1900は、あのタラップから見た光景を思い出しながら、自分にはあんなに広い世界でどう生きていけば良いかわからないと言い、やはり船に残ると言うのでした。
別れの挨拶を交わし、マックスは涙ながらに1人で船を下りました。
がらんとした船の中でただ1人、音を思い描きながら指だけを動かす1900。そしてヴァージニアン号は爆破されました。
楽器屋に戻ったマックスは、店主に全てを話しました。
割られたレコードを継ぎ直してピアノに隠したことも明かしたマックスに、店主は売りに出したはずのトランペットを返します。
「良い話を聞かせてくれたお礼だ」、そう言った店主に礼をし、マックスは街へと消えて行きました。
海の上のピアニスト|結末ラストの解説!
「海の上のピアニスト」のあらすじをまとめてきましたが、皆さんはどうお感じになったでしょうか。ラストシーンはあまりにも切ないこの映画。
ここでは、ヴァージニアン号と共に生涯を終えた1900の結末について、もう少し詳しくご紹介し、掘り下げてみたいと思います。
1900が船を下りない理由
説得するマックスに対して、1900は船を下りない理由を次のように説明していました。
終わりと始まりがあるピアノ=船・自分の生き方と重ね、それに対する地上の途方もない大きさを憂う1900の心情がとても切ないです。
タラップから地上に広がる街を見た時、1900は自分の生きる場所と運命を悟り、このまま船で生涯を終えていくことを決めていたのだと思います。
ヴァージニアン号という世界の中で、音楽という無限の表現をし続けて来た男。
有名なジャズピアニストをあっさりと負かせた天才的な腕を持ちながらも、彼自身はとても小さな世界の中で生きてきたんだな、と考えるとたまらない気持ちになりますね。
マックスの心情
もしも自分の友人が1900のような状態だったら、どうするでしょうか?
もしかしたら引きずってでも連れていくのが正しいのかもしれませんが、マックスは無理に彼を船から下ろしませんでした。
ずっと共に演奏し、そばで見てきた仲間だからこそ、1900の決意を心底理解し、涙をこらえて彼を船に残して去ったのだと思います。
私はこの映画を見るといつも、
ダニーが生きていたら1900を地上に連れて行ったりしたのかな…
あの少女に想いを伝えることができていたら1900は街で生きていた可能性もあるのかな…
こんなことを考えてしまいます。
海の上のピアニスト|あらすじネタバレ結末ラストのまとめ
最後までお読み頂きありがとうございました。
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