2020年11月20日に公開された映画「滑走路」は、32歳で命を絶った歌人・萩原慎一郎のデビュー作にして遺作となった歌集を原作に、現代でもがき苦しみながら生きる人々の姿を描いたヒューマンドラマです。
大庭功睦が監督を務め、若手官僚の鷹野を浅香航大、切り絵作家の翠を水川あさみが演じることで完成した本作は、具体的にはどんな物語が描かれていているのか気になりますよね。
今回は、映画「滑走路」を観ようか悩んでいる人に向けて、映画「滑走路」のネタバレ有のあらすじと原作情報をご紹介していきます。
- 映画「滑走路」の予告動画
- 映画「滑走路」のあらすじ
- 映画「滑走路」のネタバレ結末
- 映画「滑走路」の原作について
予告動画
登場人物(キャスト)一覧

出典元:映画.com
鷹野(浅香航大)
厚生労働省で働く若手官僚。激務に追われる中、理想と現実の狭間で苦しんでいる。NPO団体が持ち込んだ「非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリスト」を見て、その中で自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、死の真相を探り始める。
翠(水川あさみ)
30代後半の女性で、切り絵作家。将来的なキャリアと社会不安に悩まされている。子供を欲する気持ちを自覚しつつ、高校の美術教師である夫・拓己との関係性に違和感を抱く。
学級委員長(寄川歌太)
中学2年生の学級委員長。幼馴染の裕翔を助けたことをきっかけに、いじめの標的にされてしまう。シングルマザーである母・陽子に心配かけまいと、いじめの事は話していない。苛烈さを増す攻撃に1人耐えていた時、ある1枚の絵をきっかけにクラスメイトの天野と交流を深めていく。
あらすじは?

出典元:映画.com
あらすじ 【起】
※本作は中学時代の男女ともう一人の男の物語と、もう一人の男が24歳だった頃の物語、30代後半になった女の物語という3つの物語が同時進行しています。
中学2年生の学級委員長(寄川歌太)は、幼馴染の裕翔(池田優斗)を同級生たちからのいじめから助けたが、今度は自分がいじめのターゲットにされてしまうのです。
同級生たちは裕翔を脅し、学級委員長の教科書を盗ませるという卑劣なやり方で、学級委員長を精神的に追い詰めていきました。
そんな彼に手を差し伸べたのが同級生の天野翠(木下渓)、彼女はプールに投げ込まれた学級委員長の鞄を拾った日、自分の絵を気に入ってくれた彼と交流を始めていくのでした。
あらすじ 【承】
学級委員長はシングルマザーである母・陽子に心配かけまいと、いじめの事は話していません。しかし、それを知った同級生たちに「母親に知られるか、天野の絵をカッターで切り裂いてくるか、どっちがいい?」と脅されてしまうのです。
学級委員長が葛藤の末に絵を切り裂いてしまいます。天野はこの事を怒ってないと言うが、そんな彼女はもうじき転校してしまうのです。
引っ越し当日、学級委員長は天野に修復した絵を返そうとするが、彼女からあげると言われました。2人は抱き合い、背を向けて別々の方向に歩き始めるのです。
厚生労働省で働く若手官僚の鷹野(浅香航大)は、NPO団体が持ち込んだ「非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリスト」を見て、自分と同じ25歳で自死した青年に興味を抱き、その青年について調べ始めました。
あらすじ 【転】
単純労働をこなすだけの仕事に将来性を見出せず、絶望していた青年には恋人がいたが、その恋人にも「好きな人が出来たから」と別れを切り出されてしまったことで自死に至ったのでした。
その後青年の元恋人から連絡があり、鷹野は「青年が中学生の頃にいじめられていたと話していた」ということを知ったのです。
鷹野は中学時代に盗んだ教科書を見つめ、自死した青年は学級委員長ではないかと思い、陽子の元を訪れました。
鷹野は「中学時代は学級委員長に酷いことをした」と、陽子に頭を下げて教科書を返そうとしました。
陽子は鷹野に、「この教科書はあなたが持っていて、決して忘れないように」と告げ、彼を優しく見送りました。
ネタバレ結末は?

出典元:映画.com
30代後半の女性・翠(水川あさみ)は、切り絵作家として認められつつあり、高校の美術教師として働く夫とは食事を作るのも役割分担するなど、お互いを尊重した生活スタイルを守っていました。
切り絵作家として新しい仕事の依頼がきた日、翠は夫に子供を持つことをどう思うか相談すると、夫に「自分はどちらでもいい、翠の好きなようにすればいい」と言われてしまいます。
それからほどなくして、翠は珍しく酔っ払って帰ってきた夫に何があったか聞くと、夫から「美術のカリキュラムがなくなって失業してしまった」と告げられるのです。
ショックで自棄酒をした夫を励ます翠、彼女はその後妊娠したことが発覚するが、夫からは相変わらず「翠の好きなようにすればいい」とだけ言われてしまいます。
徐々に夫との関係性に違和感を抱く翠はある日、中学時代の同級生から、学級委員長が12年前に自死したことを知らされました。そう、翠は学級委員長と親しかった天野翠です。
翠は悩んだ末、中絶する道を選び、その事をきっかけに離婚した夫と数年後、切り絵作家として成功した自分の展覧会で再会します。
元夫はあの頃と変わらず翠の絵を褒めてくれて、その中でも1枚の絵を良いねと翠に話しました。これを聞いた翠は、「昔、自分が水彩画を描いていたことを思い出して、切り絵と重ねてみたのだ」と告げます。
翠たちは別れ際、お互いに再婚は?と尋ね合うが、答えはどちらもNOです。元夫と別れた翠の元へ、2~3歳ぐらいの子供が「お母さん」と呼んで駆け寄っていきました。
原作は?

出典元:KADOKAWA
原作者は萩原慎一郎、小説版の執筆したのは藤石波矢
本作の原作者は、あふれる才能を遺して突如この世を去った歌人・萩原慎一郎です。萩原慎一郎は、いじめや非正規雇用など、自らの経験をテーマに短歌を発表し続けました。
そのデビュー作であり、遺作となってしまった「歌集 滑走路」は異例のヒットとなり、それをもとに描かされた本作の小説版を、藤石波矢が執筆しています。
小説版を執筆した藤石波矢は、栃木県出身の小説家で、大正大学文学部表現学科創作・表現コース(現:表現学部表現文化学科クリエイティブライティングコース)の卒業生です。
そして東京ビジュアルアーツ映画学科を卒業後、「初恋は坂道の先へ」という作品で第1回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞を受賞し、作家デビューを果たします。
2017年には、藤石波矢が執筆した作品「今からあなたを脅迫します」が、ドラマ化しました。
藤石波矢が執筆した、萩原慎一郎のベストセラー歌集「歌集 滑走路」を原作とした映画のノベライズは、2020年9月24日に発売されました。
小説版の内容
藤石波矢が執筆した小説版の内容は、下記の通りです。
厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い、無力な自分に思い悩んでいました。
ある日陳情に来たNPO団体から、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ、鷹野は自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始めます。
一方、30代後半に差し掛かった切り絵作家の翠は、夫との関係性や将来への不安を抱えていました。
中学2年生の学級委員長は、幼馴染を庇ったことでいじめの標的にされてしまいます。
それぞれのフィールドで精いっぱいの日々の生活を送った3人の人生が交差し、葛藤しながらも前に進む姿を描いた人生賛歌の物語です。
3人の主人公が、それぞれ悩み苦しみながらも、前に進もうとするその姿は、どの世代の人も共感できることがあることでしょう。
そして3つの物語として語られた3人の人生は、それぞれ交わった部分があると後半になって知ることが出来るので、最初から最後まで目が離せないストーリーですね。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
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