韓国で130万部を突破し、日本でもフェミニズム小説として注目を集めた大ベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』がついに映画化され、日本でも2020年10月9日より劇場公開されることになりました。
監督は、本作が長編映画デビューとなるキム・ドヨンが務めました。
キム・ドヨン監督は、演劇女優としても長く活動してきて、40代半ばに映画学校に入ったという稀有の経歴の持ち主です。
今回はそんな話題の映画『82年生まれ、キム・ジヨン』の映画と原作の違いや、実話なのか?モデルがあるのかについても調べてみました。
・原作では男性カウンセラーが語りてとなっている
・本作のモデルは韓国の一般女性たち
・女性であれば誰もが主人公の一人として共感できる
82年生まれ、キム・ジヨン|映画と原作の違いは?
本作の原作となっているのは、チョ・ナムジュさんの同名小説『82年生まれ、キム・ジヨン』です。
原作では男性カウンセラーが語り手となり、ストーリーが展開する
主人公のキム・ジヨンは夫チョン・デヒョン、1歳の娘ジウォンとの3人暮らしです。
ジヨンは妊娠するまで広告代理店で忙しく仕事をしていましたが、妊娠を機に会社を退職します。
当時、社会では妻が子育てをすることが一般的だったからです。
大切な仕事を辞め、子育てに専念するジヨン。
しかし、社会での居場所を失くし、子育て中も性差別を受け続けるジヨンの心は段々と疲弊していきます。
ある日、コーヒーを公園で飲んでいたジヨンは、近くにいたサラリーマンたちに「旦那の稼ぎでコーヒーを買うなんていい身分だ」と陰口を叩かれます。
陰口を叩いたサラリーマンたちも同じコーヒーを飲んでいるのに、「自分にはコーヒーを飲む価値もない」とひどく落ち込みます。
そして、この頃から自分の母親や友人がジヨンに憑依したような症状が出始めるのです。
ジヨンは夫デヒョンの勧めでカウンセリングに通うようになり、生い立ちから自身のことを話していきます。
原作では映画と異なり、ジヨンのカウンセリングを担当した精神科医が語り手となって、ストーリーが展開します。
原作の面白いところは、性差別の事実や、当時の心境など、ジヨン自らが語り手として明かすのではなく、男性であるカウンセラーがカルテを通じて明かしていくところです。
そして、このカウンセラー自身、ラストで作品に大きな影響を及ぼす存在となっています。
映画では原作にない、ジヨンが感情を爆発させるシーンがある
映画では原作と違い、作中の終盤に普段内向的な性格のジヨンが、感情を爆発させるシーンがあります。
ジヨンが経験してきた理不尽な性差別を、自分と重ね合わせながら映画を鑑賞してきた観客たちもジヨンと共鳴し合う場面です。
映画では男性の登場人物にも名前がついている
本作で登場する男性たちは、ほとんどが性差別をする人物です。
しかし映画では、原作にはない男性目線も描かれており、男性の登場人物にも名前がついています。
原作とはまた違った視点で観れるのも面白いです。
82年生まれ、キム・ジヨン|実話?モデルはある?
モデルとなったのは韓国の一般女性たち
このように理不尽な性差別を描いた本作ですが、ストーリーは実話なのでしょうか?
また実際にモデルとなった作品や人物はいるのでしょうか?
本作は実話ではありませんが、モデルとなった人物はいます。
それは誰か特定の人物ではなく「韓国の一般女性たち」です。
原作の著者、チョ・ナムジュさんはトークイベントにて下記のように語っています。
最初にこの小説を書こうとしたときに、女性であれば誰しも経験し得るようなエピソードを集めて、ある女性の半生を再構成するという形で書きたいと思いました。周囲の女性の誰かは「こんなことあったよね」と共感できる、女性ならば誰もが経験する、いわゆる「あるある」をいろいろ集めました。
(WEBちくまより引用)
そのためチョさんは、女性について書かれたルポやインタビュー記事を読んだり、女性の書き込みがある掲示板などを参考にし、エピソードを集めたそうです。
女性であれば誰もが主人公の一人として共感できる
女性であれば誰が読んでも、「こんな経験があったな」と共感できるような作品となっていますが、チョさん自身も育児のため10年間勤めていた放送作家の仕事を辞めて、専業主婦になった経験をしているそうです。
また、主人公の「キム・ジヨン」という名前も韓国ではよくあるポピュラーな名前だといいます。
このように、多くの女性の共感を得たことが、130万部を超える大ヒットベストセラーとなった由縁ではないでしょうか?
82年生まれ、キム・ジヨン|映画と原作の違いは?実話?モデルはある?のまとめ
今回は『82年生まれ、キム・ジヨン』の映画と原作の違いや、実話なのか?モデルがあるのかについても調べてみました。
本作は実話ではありませんが、「韓国の一般女性たち」がモデルとなっており、女性であれば誰しも経験し得るようなエピソードが集められ、物語が構成されていました。
また、原作と映画にはいくつか違いがありますが、どちらも心に残る素晴らしい作品となっています。
原作小説と映画、どちらもご覧になることをおススメします。
是非ご覧になってみてください!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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