2020年10月に日本でも公開されたアーロン・ソーキン監督作品「シカゴ7裁判」。
公開するや否や、アカデミー賞予想に名前のあがる話題作です。
メキシコ戦争真っただ中の1968年のアメリカシカゴで、戦争に反対する者たちによる暴動事件が勃発しました。
その首謀者として逮捕された8人の男たちに待ち受けていたのは、不公平な裁判でした。
衝撃的な実話をもとにした話題作「シカゴ7裁判」のあらすじとみどころをまとめました。
- 「シカゴ7裁判」のあらすじ
- 「シカゴ7裁判」作品情報
- 「シカゴ7裁判」主な登場人物(キャスト)
- 「シカゴ7裁判」ネタバレあらすじ結末
シカゴ7裁判丨予告動画
シカゴ7裁判丨作品情報
タイトル | シカゴ7裁判 |
原題 | The Trial of the Chicago 7 |
日本公開日 | 2020年10月9日 |
上映時間 | 130分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | アーロン・ソーキン |
脚本 | アーロン・ソーキン |
製作 | スチュアート・M・ベッサー マット・ジャクソン マーク・E・プラット タイラー・トンプソン |
製作総指揮 | マーク・バタン ドル―・デイヴィス モーリス・ファディダ バディ・パトリック アンドリュー・C・ロビンソン コディ・サンヌー ニコール・アレクアンドラ・シプリー ライアン・ドネル・スミス ジャレッド・アンダーウッド スラヴァ・ヴラディミロフ |
製作国 | アメリカ |
配給 | Netflix |
シカゴ7裁判丨主な登場人物(キャスト)
1968年、シカゴ民主党大会で暴動を企てたとされる、Yeppiesのアビー・ホフマン、ジェリー・ルービンSPSのトム・ヘイデン、レニー・デイヴィス、ベトナム戦争終結運動代表のデイヴィッド・デリンジャーに加え、ジョン・フロイネス、リー・ウィンナーの7人をマスメディアが称した名前。
シカゴ7裁判丨ネタバレあらすじ(ストーリー解説)
シカゴ7裁判丨あらすじ
1968年。大統領選挙を控えた8月28日、イリノイ州シカゴで民主党の全国大会が開かれていた。それに合わせて全国から反ベトナム戦争派の若者たちが集結し、集会やデモを繰り広げていた。そして、会場近くのグランド・パークでは、デモ隊と警察が衝突し騒乱となり、数百名の負傷者を出す事件へと発展した。
共和党のニクソン政権が誕生した約5ヶ月後、デモに参加した各グループのリーダー的存在だった7人が、暴動を扇動したとして共謀罪などの罪に問われ、法廷に立つことになる。型破りなメンバーたちは、保守的な裁判長に反抗し、繰り返し法廷侮辱罪に問われる。中でもブラックパンサー党のボビーは弁護士をつけずに自らを弁護、仲間が警察の捜査で射殺された怒りをぶつけ、ついには身体を拘束される。温厚なデリンジャーまでも、裁判長への反発から職員に暴力をふるってしまう。
弁護士のクンスラーは起死回生をかけて、クラーク前司法長官を証人として召喚する。クラークは当時の捜査で暴動のきっかけを作ったのは警察側であるという結論に至った事を証言する。検察側の弁護士のシュルツは、それは前政権の時の判断だと応戦する。
裁判の終盤、市民から録音テープが証拠として提出される。それはヘイデンが集会で、警察が友人に暴力をふるったことに逆上して聴衆に血を流せと扇動している声が記録されていた。証言に立ったホフマンは聖書を引用してヘイデンを弁護する。
裁判の最後、裁判長から陳述を求められたヘイデンは、裁判の最中も続いているベトナム戦争で戦死した米兵の名前を次々と読み上げる。激高する裁判長をよそに、他のメンバーや弁護士、傍聴人までもが起立する。ついにはシュルツも立ち上がり死者への哀悼を示した。ヘイデンらは懲役5年の判決を受けるが、後に再審理となり、検察側は追訴を断念する。
シカゴ7裁判丨あらすじ 【結末・ラスト(ネタバレ)】
クラークが出廷した日、ホフマン判事は陪審員を外し、予備審査としました。
クラークの主張を参考にさせないためです。
クラークは大統領ジョンソンとの会話を話します。
ジョンソンにシカゴでの暴動事件の中心者を起訴する意志があるかと問われたクラークはないと答えたと告白します。
なぜなら暴動の原因は市警にあり、暴動を扇動するための共謀は認められないと判断したからでした。
傍聴席からは歓声が上がりますが、ホフマン判事は陪審員を入廷させることなく、クラークを退廷させます。
その夜、トムとアビーが所信表明をトムがおこなうことをめぐって揉めます。
トムは選挙に勝って反戦を訴えるべきであると、アビーはマスコミを使って訴えるべきだと主張します。
そこに帰ってきたクンスラー弁護士が手にしていたものは、暴動をトムが先導した証拠の録音テープでした。
あの日の講演中、ポールによじ登った少年を警察が無理やり引きずりおろし、それを止めようとしたレニーを警棒で殴りつけました。
それを舞台上から見ていたデイヴィッドはトムにやめるよう訴えてくれと頼みます。
しかしトムはマイクに向かって「血が流れるなら街で流せ」と叫びます。
それを聞いた群衆は公園を出て、橋で警察と衝突、警察を回避したトムら数人は、バーの前で警察に囲まれます。
その警察は、バッジと名札をはがし、トムたちをバーの窓へと突き飛ばしたのです。
「暴動を扇動したのは誰だ?」と問われたトムは「我らの血」と答えます。
それを聞いてアビーは「血が流れるというのは、警官の血ではなく市民の血ということだな」と言います。そして証言台に立つことになりました。
シュルツ検事からの尋問に対し、文脈を無視すれば言葉はどんな風にも解釈できると答えるアビー。「警察との暴動を望んだ集会だったか」と聞かれ「望んだだけで裁かれるなんて」と返します。
ジョンとリーの完全無罪が決まり、残る5人の判決の日。
判決の前に代表1名だけ法廷に向けての発言が認められます。
代表のトムにホフマン判事は、発言によっては量刑を軽くできる。簡潔に述べるよう忠告します。
それをうけ、今まで刑を軽くするため、法廷への侮辱的な態度をさけてきたトムは、
レニーがずっと記録していたベトナム戦争での戦没者4752人の氏名と年齢を読み上げました。
シカゴ7裁判丨見どころ
圧倒的な表現
本作で描かれた事件、裁判は実際にあったことで、登場人物も実在した人物です。
黒人であるボビーへの対応、わずかな望みも打ち砕いていく判事のやり方にはとても苦しくなります。
SPS、Yeppies、ベトナム戦争終結運動、ブラックパンサーはそもそも掲げる思想が違うので、彼らの間に存在するすれ違いも緻密に描かれています。
「シカゴ7裁判」では裁判シーンの間に、暴動や彼らのスピーチを時系列とはバラバラに描いています。
テンポよく見せたいところは、軽快な音楽とともにハイライトのように表現しています。軽快な音楽には実際にそこで起こっていることの暴力性、残酷さの皮肉でもあるかもしれません。
市警による暴力はかなり生々しく描かれています。
なかでもボビーが法廷から退場させられ、無理やり拘束、猿ぐつわをされる演出はかなり生々しく衝撃的に描いています。
ボビーが退場した後の静かな法廷と交互に映すことで、静と動のメリハリがはっきりし、より鮮明な暴力の表現がなされています。
当時の警察や司法省の不当性を訴えたい監督の思想が伝わってくるようです。
豪華俳優陣
全米脚本家組合ストライキ、全米映画俳優組合ストライキにより映画製作が遅れた今作は、2018年ー2019年に監督、出演陣が決定しました。
主演のサシャ・バロン・コーエンは第64回ゴールデングローブ賞で主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞しています。
トム・ヘイデンを演じたエディ・レッドメインは2014年「博士と彼女のセオリー」でアカデミー主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞などを受賞、翌年にもアカデミー主演男優賞にノミネートされています。
シェイクスピア作品も演じ、近年では「ファンタスティック・ビースト」シリーズで主演をつとめています。イギリス人であり、上流階級のイギリス訛りを使う彼は、本作ではアメリカ訛りに挑んでいます。
またシュルツ検事を演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットはクリストファー・ノーラン監督作品「ダークナイト・ライジング」「インセプション」などの話題作に出演するほか、宮崎駿監督作品「風立ちぬ」の主人公堀越二郎の英語吹き替えを担当しています。
シカゴ7裁判丨ネタバレあらすじ、見どころのまとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
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