映画「ノマドランド」は、2021年度アカデミー賞最有力候補と名高い作品です。
ヴェネチア国際映画祭・トロント国際映画祭・ボストン映画批評家教会など、世界の名だたる映画賞を総なめ!
主演を務めるのは「ファーゴ」でアカデミー賞女優となった、フランシス・マクドーマンドです。超大物女優であるフランシス・マクマードンは、映画のためにノマド生活を実際に体験しました。
そして脇を固めるのは、本当にノマド生活を送っている人ばかり。映画というよりもドキュメントに近く、日本でも大変な話題になっています。
では「ノマドランド」とは、どういう意味でしょうか?すごく考えさせられる内容になっているとの話ですが、具体的に何をどう考えさせられるのか、追求してみました。
- 「ノマドランド」の意味
- 原作者が考える「ノマド」の意味
- 「ノマドランド」は人生を変える映画
タイトルの意味は?
「ホームレスではなく、ハウスレス」この言葉の意味、深いですネ身の回りの色々な価値観、見直すきっかけにもなりました#ノマドランド#BonS765#sm765 pic.twitter.com/aGi9OglkmZ
— Cashew-nuts (@Cashewn46303272) April 11, 2021
映画のタイトルである「ノマドランド」の意味は、アメリカです。
アメリカは誰しもが認める、世界トップの経済大国。GDPは21兆4300万ドル(2019年時点)で、日本の5.082兆ドルよりも遥かに上。
しかし現実は経済大国とは程遠い国でした。そんな現実的な世界を描いた映画こそが、ノマドランドです。
「ノマドランド」の意味は?
ノマドランド
これからの人生を考えさせられますが、旅しているように生きていこうと思わせてくれる作品。アメリカの大自然が恐ろしいほど美しい。 pic.twitter.com/wOU4kYqRC7
— AKIRA (@Gordon_Gekko72) April 9, 2021
「ノマド」は、放浪者や遊牧民を意味します。
特定の住居を持たず、自分なりの生き方を貫いている人のことです。
「ランド」の意味は、土地・国です。
特定の住居を持たず、自分なりの生き方をしている人が集まる国が、「ノマドランド」。
映画の内容から見るノマドの過酷な生活
『ノマドランド』
金融危機の煽りなどで住居を失い社会から弾かれた人々による遊牧車上生活。心まで搾取されてなるものかと過酷承知で豊かな縁や価値ある生を旅の中で見出していく。それは決して終着点ではない個として生き抜く覚悟、〝またどこかで〟に込められた繋がりを見据えた旅に見えた。好き! pic.twitter.com/MuVhQTL8k5— コーディー (@_co_dy) March 26, 2021
映画の内容は、長年住んでいた家を手放してノマドとして生きる60代女性ファーンが主役です。
彼女は若者でも音を上げるほど、過酷な労働を課せられます。繁忙期のアマゾンの倉庫で働いたり、食品の加工工場で働いたりしていました。しかしどの仕事も短期です。生活の保証なんて、どこにもありません。
体の負担が大きくのしかかる仕事。しかし負担が大きいからとは言え、「嫌」とは言えません。断ったら、生活ができないからです。
「ノマド」と聞くと日本ではキラキラライフを想像するでしょうが、実際の「ノマド」はかなり過酷。
何の保証もなく綱渡りでの生活を続ければ、病気にもなります。でも病院へ行く余裕はありません。大病を患えば、即ゲームオーバーです。
原作者が考える「ノマドランド」の意味
#ノマドランド
F・マクドーマンドが原作を読み版権を自ら買った思い入れのある作品。監督にクロエ・ジャオを選んだのは納得。リアルな声に表情で語る彼女の演技。
ホームレスではなくハウスレスだと拘る。殆どが高齢者。この作品に答えはない。そう感じました。各々が受け止め考える。かなりの良作。 pic.twitter.com/7ys3WdGWwA— Sachi (@HIDEAWAYSachi) April 11, 2021
原作者は「ノマド」の意味を「経済的な矛盾から脱出した者」と、捉えています。
映画「ノマドランド」の原作は、ジェシカ・ブルーダーが書いたノンフィクション本です。日本でも「ノマドランド 漂流する高齢労働者たち」のタイトルで、出版されています。
本来であれば、頑張って働いた人が恵まれるはずです。しかし頑張っても頑張っても、恵みはほんの僅か。引退して年金生活を送っても、将来は真っ暗です。経済の骨組みは悲惨なもので、頑張ればどうにかなるものではありません。
原作者は、社会の矛盾から離れて暮らしている人を「ノマド」と呼んでしました。
生き方を考えさせられる内容とは?
「ノマドランド」良かった…!いろいろ考えさせられる内容でした。主演のフランシス・マクドーマンドに釘付け。 pic.twitter.com/0oy018jmKy
— gisu_michi (@gisu_michi) April 11, 2021
既に映画を見た人が投稿したレビューを見てみると、「考えさせられた」「勉強になった」「人生が変わる」の投稿が目立ちました。
「ノマドランド」の内容を突き詰めると、見えてきたのは本当の意味での幸せです。
彼女がノマドを選んだ理由は?
ℙ ℕ
ノマドは、冒険をして、観光して、
じゃあ、うちに帰ろう
というものではありません。帰る故郷はない。
もう10年以上ノマドですが、
ちっとも飽きることはありません。ノマドでいることは
自らの選択なのです。―#スワンキー#ノマドランド pic.twitter.com/AOJqcKbDN2
— サーチライト・ピクチャーズ (@SearchlightJPN) April 14, 2021
家を失い生活も不安定の高齢者。一見すると悲惨な生活が滲み出ていると思われるでしょう。でも「ノマドランド」で描かれているのは、暗い側面だけではないのです。
映画には、70代で末期がんにおかされているスワンキーが登場します。末期がんにおかされているのなら、今すぐにでも病院へ行かなければいけません。
それでも病院に行かないのは、金銭面的なこともあるでしょう。でも1番は「自由」でした。病院のベッドに縛り付けになるよりも、過酷な自由を選んだのです。
そして自身の夢を叶えるために、行動に移しました!
ノマドを演じたのはノマドご本人
「ノマドランド」を観てきた。
人間の強さ儚さ。自然の広大さ美しさ、そして厳しさがスクリーンからビシビシ伝わってくる。
出演者のほとんどは役者さんじゃなくて、実際にノマド生活をしてる方なのだそう。みんないい顔してるなぁ。 pic.twitter.com/CBvm0Tww55
— メイさつき (@mei_satsuki_) April 13, 2021
スワンキーを演じたのは、本家本物のノマド生活を送っている人でした。スワンキーは、原作にも登場したご本人です。
1944年生まれの76歳。64歳の頃に、ノマド生活へとなりました。彼女には立派に独立した子供がいますが、子供との同居は考えていません。却ってストレスになるからと、拒否しています。
自ら過酷なノマドへと足を踏み入れたスワンキー。でもノマドの世界に入り込んだからこそ、アカデミー賞最有力候補の作品に出演できたのです。
もし子供と同居していたら、大物ハリウッド女優と同じスクリーンに映ることもなかったでしょう。
ちなみにスワンキーの病気は、映画の中だけの話。本人は元気に過ごしていますので、ご安心下さい。
まとめ
ノマドランドの意味は、アメリカの真実です。
度重なる不景気により、家を手放して過酷な生活を強いられる高齢者達。過酷な生活を代償に得たのは、自由でした。
一般家庭にとって住み辛い場所がアメリカならば、自由で伸び伸びとした生活もアメリカです。
お金は富と安定をもたらすも自由を失い、自由を得ればお金と安定は消えてしまいます。「ノマドランド」は現実をしっかり描きつつも、人生の在り方を問いかける映画となっていました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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