刑事ジョン・ブック 目撃者|「英国人に気をつけろ」アーミッシュ徹底解説。

出典:映画チラシサイト

 

1985年に公開された「刑事ジョン・ブック目撃者」は、アメリカのサスペンス映画です。

 

主人公はジョン・ブックという刑事、演じるのはハリソン・フォードです。

 

実は一口にサスペンスドラマ、と言い切ってしまうことがナンセンスなほどのストーリー展開を見せてくれるのです。ずいぶん昔の作品ですが、今見てもその展開の新鮮さにハッとさせられます。

 

あらすじを少しここに書きます。

 

物語の始まりはとあるアーミッシュの少年が殺人事件を目撃してしまうところから始まります。少年サミュエルが目撃したその事件は、実は警察官同士のものでした。事件の担当者である刑事ジョン・ブックは、サミュエルの証言を聞いて同業者・警察側の腐敗の事実を目の当たりにし、サミュエルとその母レイチェルを守るため、アーミッシュの村に逃れて潜伏をすることに…

 

と、物語の起こりはこのようなものですが、耳慣れない「アーミッシュ」という言葉が出てきましたね。

 

これが今回この記事でフォーカスするキーワードです。アーミッシュとは一体?その謎に迫っていきたいと思います!

 

 

刑事ジョン・ブック目撃者の「アーミッシュ」とは?

出典:第30回東京国際映画祭

 

さて、早速ですがアーミッシュとは一体何なのでしょう。人種を示す言葉?それともどこか特定の国の人のことをそう呼ぶのか?

 

答えは、アーミッシュとはアメリカやカナダに住むドイツ系移民の宗教集団のことです。

 

アーミッシュは移民当時の生活スタイルを守り、自動車や電気、通信機器などのあらゆる現代技術を拒み、自給自足で昔ながらの生活を営んでいます。

 

作中でも、母子を連れてアーミッシュの村に逃れたジョンの行方を、追手は必死に探すのですが、通信機器などを導入していない閉ざされた村の捜索は非常に困難を極めました。

 

いつどこでどのように広まった?

出典:映画.com

 

アーミッシュのルーツは、16世紀の宗教改革時代に生まれた「再洗礼派(アナバプテスト)」という一つの宗派にあるそうです。かつてカトリック教会で一般的に行われていた、生まれたばかりの赤ちゃんに洗礼を施す儀式を「聖書に反すること」と否定し、成人になり本人の意志で洗礼を受ける様式をとったことから、彼らは再洗礼派と呼ばれました。

再洗礼派は国と宗教団体の分離を強く求めました。国家権力の干渉を否定するその姿勢により、あまりにも過激な集団とされ、カトリック・プロテスタント両側から弾圧されてしまいます。

そんな流れの中で、スイスのヤコブ・アマンという1人の指導者が、教会の純粋さを一層強く固め守っていくために、他のグループから離れ、より閉鎖的に暮らす一派を作ります。そのアマンという名にちなんで彼らは「アーミッシュ」と呼ばれるようになりました。

そしてこの時代に、再洗礼派に対する迫害はますますひどくなり、アーミッシュ達はアメリカやカナダに移住していきます。

アーミッシュの「規律」とは?

(出典:YouTube)

アーミッシュには各地それぞれのコミュニティーがあり、決まり事等少しずつ異なりはしますが、基本的に共通して「オルドゥヌング」という規律を重んじています。
それを破れば追放されてしまう、というとても厳しいものです。

 

規律の一部をご紹介しますと、

 

・怒ってはいけない
・音楽を聴いてはいけない(賛美歌は可)
・本を読んではいけない(聖書とそれに関連する書物は可)
・化粧をしてはいけない
・派手な服を着てはいけない
・男性は口髭を生やしてはいけない(顎や頬は可)
・離婚をしてはいけない …

 

などとても細かく、そして厳しい内容となっています。

 

音楽や読書に関しての項目からも読み取れる様に、信仰に対してとても厳格で、大変に禁欲的な宗教集団なのです。

彼らの生活は極めて慎ましく質素で、原則として快楽ごとや争いごとが禁じられ、異教徒との結婚も認められません。

 

アーミッシュを題材とする映画は?

出典:シネフィル wowow

 

アーミッシュを題材とする映画はこの「刑事ジョン・ブック目撃者」以外に、

 

・「ジーパーズ・クリーパーズ」(2001年)

・「Devil’s Playground」(2002年)

・「ヴィレッジ」(2004年)

 

などがあります。

 

その神秘に包まれた雰囲気から、ミステリーやホラーなどの題材としてよく挙げられている様です。

 

刑事ジョンブックの「英国人に気をつけろ」とは?

出典:Yahoo!映画

 

ストーリー冒頭で、列車に乗るサミュエルとレイチェルを見送る義父が、、

 

「英国人に気をつけろ」

 

と言うシーンがあります。

 

 

この場合の「英国人」とは、「English」=英語を喋る人間、というところから、実は「アーミッシュ以外のアメリカ人」のことを指しています。

先程ご紹介した様に、閉ざされたコミュニティーで、しかもとても厳しい規律のもとで生活しているアーミッシュにとって、外の世界に出ることは大変にリスクがあることなのです。

 

 

そしてこのセリフは、ジョンが村を去っていくラストシーンでも登場します。今度は去っていくジョンに対して村人が「英国人に気をつけろ」と伝えるのです。

それはもともと外の人間だったジョンが、アーミッシュの仲間・村の一員として受け入れられていた、ということを意味する、とても深い絆と愛情がこもった一言だったのです。

刑事ジョン・ブック目撃者の「英国人に気をつけろ」アーミッシュ徹底解説。まとめ

 

ここまででアーミッシュについて、刑事ジョン・ブック目撃者の「英国人に気を付けろ」とは?についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

今回掘り下げてみて、アーミッシュという人たちがこんなにも壮絶な歴史を辿ってきたこと、そして現代社会においても徹底してストイックな思想を持ち、慎ましやかな生活を営んでいること、私自身もとても勉強になりました。

 

ある殺人事件から始まり、思いがけずアーミッシュと関係を深め、交流をしていくヒューマンドラマ的な側面も見せる名作「刑事ジョン・ブック目撃者」

 

この記事を読んで少しでもアーミッシュについて興味を持たれた方はぜひ、作品もチェックしてみてください!

 

 

以上、刑事ジョン・ブック目撃者の「英国人に気をつけろ」アーミッシュ徹底解説。についてご紹介しました!

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

コメント

  1. […] […]

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