寝ても覚めても|映画はホラー?怖いのか考察!同じ顔の二人

忘れられない昔の恋人麦(バク)と同じ顔をした男亮平という2人の男性に惹かれる女性朝子。

麦と亮平、一人二役を演じた東出昌大と、今作品で本格的な演技は初めてという唐田えりかが主演の恋愛映画『寝ても覚めても』。

 

第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品となり、何かと話題になった今作『寝ても覚めても』のあらすじ、評価をまとめました。

怖い?ホラー?という感想もあるようです!

 

この記事で分かること

・『寝ても覚めても』のあらすじ

・『寝ても覚めても』は幽霊の出ないホラー?

・『寝ても覚めても』に隠されたメタファー

寝ても覚めても丨寝ても覚めてもはホラー?怖い?

出典:YouTube BITTERSENDinc

寝ても覚めても あらすじ

大阪で暮らしている、泉谷朝子は展覧会に赴く。そこで出会った男、鳥居麦に出会っていきなりキスをされる。その後、2人は恋に落ち、恋人同士になる。
しかしある日、麦は突然姿を消してしまう。

数年後、朝子は東京で暮らしており、仕事で訪れた先で丸子亮平と出会う。亮平は、数年前突然姿を消した恋人と顔が瓜二つであった。

最初は戸惑う朝子も、亮平の思いに惹かれ2人は恋人同士になる。しかし、朝子は昔の恋人に似ているということを亮平に伝えられないままで…

ざっくりとしたあらすじはこんな感じです。
既に少し奇妙な内容ですよね。普通の恋愛映画とは言えないです。

ネットでの反応

ネットでの感想はどうでしょうか。

 

 

https://twitter.com/AOI_2824g/status/1308444244282019840?s=20

 

やはり怖いという意見が多いようです。

どうして怖い?

ここから先はネタバレを含みます。

危なげな男、麦と誠実な男、亮平のどちらを選ぶべきなの?とだけ言えば、ベタな少女マンガ展開と言えなくもないです。

虚でふわふわとした男、麦とそれをどうしても愛してしまう朝子。
一時は亮平と順調に交際を重ねていた朝子の前に突然、「戻ってきたよ」と麦が現れます。

突然の訪問、そして再会に朝子は恐れます。当たり前ですよね。
しかし、麦は朝子にとって忘れられない男性です。
朝子は麦を選びました。
既に5年ほど亮平と交際していた麻子が、あっさり麦を選んだ心理も、理解されにくく「怖い」という感想に繋がったのかもしれません。

しかし、思い直したのか、朝子は今度は麦を捨て、亮平の元に帰ることを決めます。

朝子の一連の行動は確かに、理解しにくいかもしれません。
どっち?身勝手じゃない?という感想が生まれるのも当然です。
それすらも超えて、朝子の心理、突然現れる麦の行動には恐怖を覚えたということでしょう。
もはや幽霊の出ないホラー映画を見ている気持ちになります。

好きの気持ちは時に人を盲目にさせますが、麦は一体何者だったのか……

 

寝ても覚めても丨映画の謎について考察!

出典:映画.com

小説と映画の描き方

原作は柴崎友香作の小説「寝ても覚めても」です。
この映画と原作の決定的違いは「主観か客観か」
にあると言えます。

小説は朝子の一人称視点で語られます。
ゆえに、朝子が麦を追い求めるあまり、亮平が麦と同じ顔に見える
ある種の恋の盲目さで、このストーリーは語れるのです。

しかし、映画には映像があり、それを観客と共有することで、朝子の思い過ごしだけでは語れない部分があります。
だからこそ、この映画に「怖い」という感想が生まれるのです。

麦という、何にも縛られないようなフラフラとした男と
亮平という、誠実な男
中身はまるで違う2人に同一性を見出す朝子。
その心理は恐ろしいと言えます。

『寝ても覚めても』に隠されたメタファー

ストーリーはもとより、盲目さから来ているのか予想がつかない朝子の気持ち、麦の行動、そして何より作品に散りばめられた不安のメタファー(比喩)が観る者の心に恐怖を生んでいるようです。

物語序盤に描かれる、バイク事故、そして震災。
これらは《死》を連想させるものです。
物語全体に暗い印象を与えるものとなります。

ラストに登場する川(水)は《移りゆくもの》や《境界》を連想させるものといえます。
川は、あちら側とこちら側を分けるものです。《死》と結びつけることも極端ではないでしょう。

そしてタイトル『寝ても覚めても』でも語られている《眠り》
現実と夢の《境界》をなくすもの、もしくは判断をつけにくくさせるものです。

小説では、朝子の目を通して語るしかないものも、
映画では、登場人物とは関係ない部分で描かれるものが物語の不穏さ、うつろさを演出しています。

 

映画の魅力

監督は、原作を読んで「ホラーだなとは思わなかった」と語っています。
映画だから、映像だから生まれる恐怖なのかもしれません。

この映画は、純粋な恋愛映画でもなければ、意味不明な人間の心理を描いたホラーでもないのです。

そうした細かい設計が、カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品に繋がったのでしょう。

 

寝ても覚めても丨まとめ

 

ここまで『寝ても覚めても』は怖いのか、感想と考察をまとめてみました。

 

「怖い」と思わせる、仕組みや人間模様が多く描かれているようでしたね。

この作品にはさまざまな考察が生まれたようです。
それだけ、語られていない部分に深みがあると言えるでしょう。

「恋愛」という理屈では語りきれない感情を巡って、朝子、麦、亮平の3人の行動を描いた今作。
バクという名前と『寝ても覚めても』というタイトルの一貫性にも、まだ謎が含まれていそうです。

設計の細かさにも触れましたが、濱口竜介監督の他作品も合わせて鑑賞して考えてみたいですね。

 

以上、『寝ても覚めても』についてご紹介しました!

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

 

コメント

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