柴崎友香が河出書房新社より刊行した恋愛小説を映画化した
「寝ても覚めても」
何かと話題となっていた東出昌大と唐田えりか主演のこの作品ですが、
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に、
パルムドールを受賞した「万引き家族」と一緒に正式出品されていたのをご存知でしょうか?
全く同じ顔をした2人の男性と1人の女性の数奇なラブストーリーです。
映画を見た方の中には「これはホラーだ」とまで言わしめる作品となっているのですが、
その「寝ても覚めても」のあらすじや感想を紹介したいと思います。
・「寝ても覚めても」主人公朝子と2人の男性の出会い
・「寝ても覚めても」揺れ動く朝子に振り回される人たち
・「寝ても覚めても」最終的に朝子はどちらを選ぶのか
寝ても覚めても丨予告動画
寝ても覚めても丨作品情報
タイトル | 寝ても覚めても |
英題 | Asako I & II |
日本公開日 | 2018年9月1日 |
上映時間 | 119分 |
ジャンル | 恋愛 |
監督 | 濱口竜介 |
脚本 | 田中幸子 濱口竜介 |
製作 | 定井勇二 山本晃久 服部保彦 |
製作総指揮 | 福嶋更一郎 |
製作国 | 日本 フランス |
配給 | ビターズ・エンド エレファントハウス |
寝ても覚めても丨主な登場人物(キャスト)
丸子亮平 / 鳥居麦(東出昌大)
泉谷朝子(唐田えりか)
串橋耕介(瀬戸康史)
鈴木マヤ(山下リオ)
島春代(伊藤沙莉)
岡崎伸行(渡辺大知/黒猫チェルシー)
平川(仲本工事)
岡崎栄子(田中美佐子)
寝ても覚めても丨ネタバレあらすじ(ストーリー解説)
寝ても覚めても丨あらすじ 【起】
大阪で社会人として働き始めた朝子は、大阪にある美術館で開催されていた牛腸茂雄の写真展に行きました。
そこに鼻歌を歌いながら軽やかに通り過ぎる背の高いぼさぼさの髪の男性。
何気なくその男性の後ろ姿を見ながらエレベーターに乗り込む朝子でしたが、
美術館を出てその男性とは別の方へと曲がっていこうとして、
若者たちが遊んでいた爆竹がさく裂したその瞬間、
2人は恋に落ち、キスを交わすのです。
朝子の友人春代は、そんな彼にはあまりいい印象を持たず
「あの男はアカン。顔はいいけど、しばらくした泣くことになる。」
と忠告をするも、当の朝子は「麦(ばく)」の名前の由来を楽しそうに語るなど、彼に夢中になっているのです。
麦が朝子をバイクに乗せて走らせていると、道路に投げ出されるような事故に遭ってしまうも、
2人は笑いあいキスを始める始末に、事故の相手も戸惑うほどでした。
寝ても覚めても丨あらすじ 【承】
麦は、朝子の大学の知り合いの岡崎の家に下宿をして、
朝子たちはその家に集まってはみんなで食事をしたり、
花火をしたり楽しい日々を過ごしていました。
ある日夜遅くなってから麦は「パン買いに行ってくる」とフラっと出て行ってしまいます。
朝子が目を覚ますと時刻は夜が明けて6時。
朝子は麦が帰っていないと気づき慌てます。
そこで岡崎は、
ときどきふらっとどこかいなくなって、しばらくすると気まぐれに戻ってくるようなことがしょっちゅうだから気にするな、
と言います。
しばらくして帰ってきた麦に、朝子は帰ってこなかった不安からか抱きつきます。
「必ず朝子の元に戻ってくる」と麦は朝子を抱きしめるのです。
そんなことからまたしばらくして、麦は「靴を買いに行ってくる」と出かけたまま帰っては来ませんでした。
寝ても覚めても丨あらすじ 【転】
2年と少しの月日が過ぎます。
東京の喫茶店で働いていた朝子は、とある酒造メーカーの会社の会議室に配達していたコーヒーポットが置かれていて、そのポットを回収しに来ました。
朝子はその会社で麦にそっくりで瓜二つの男と出会い、戸惑い凍り付きます。
その男性はその様子に不思議に思いますが、朝子は言い訳をしてその場をごまかします。
朝子はそれからというもの、その男性が気になってしまい毎朝喫茶店から様子を窺うようになるのです。
ある日、麦と瓜二つの男性の亮平は、朝子が友人のマヤと、とあるギャラリーの前で牛腸茂雄の写真展を、時間が過ぎていると入場を断られているところを見かけます。
そんな様子を見ていた亮平は機転を利かし、
「僕たち、この写真展をみるために京都から来たんです。バスが遅れてしまってこんな時間に…お願いします!!」
と割って入って許可を得ることが出来たのでした。
写真展を見終えた3人はカフェで過ごし、朝子が帰ったあと
マヤに亮平は、たくさん気をつかってくれたことに礼を言いますがマヤは、
「気を使っただけではないですよ、本当に楽しかった。今度自分と朝子がルームシェアをしている部屋に遊びに来てくださいよ。」と言うのでした。
そして亮平は会社の同僚串橋を「合コン」と称して誘い、
ルームシェアしている部屋を訪ねます。
マヤが出演した舞台をみんなで見ていると、
突然「帰る」と言い出した串橋にマヤが「気に入らなかったのか」と問うと、串橋も過去に演劇の経験がありチェーホフのセリフを叫びます。
「お前はなんのために舞台に立つのか」と問う串橋にマヤは、
「お客さんのため」だと言いますが、串橋は、
「誰にも届かない」と声を荒らげました。
その様子を食事しながら見ていた朝子は「私には届いた!」と叫びます。
「努力する姿を見てきた。私には届いた。マヤをわたしは尊敬している。私にはできない」と訴える朝子。
気まずい雰囲気の部屋で亮平が串橋に、
「今帰ったら恥ずかしいままやぞ」
と言います。
串橋は、マヤに嫉妬したことをいい謝罪をします。
マヤは串橋の言葉を素直にうけとめて許し、
和やかな雰囲気に変わっていったのでした。
後日亮平の会社にコーヒーポットを取りに来た朝子は亮平の顔を見ると逃げ出してしまいます。
亮平はとっさに追いかけ何故逃げるのか問います。
そして「ずっと君が気になっている、君が好きなんやと思う」
と告白するのです。
そして、2人はキスをするのでした。
そうして付き合い始めた朝子と亮平でしたが、
唐突に「私のことは忘れて」と言ったきり、朝子はその姿を消してしまうのです。
働いていた喫茶店にもその姿はありませんでした。
来るはずだったマヤの舞台の公演日にもいません。
客席に座って開演時間という時、会場が激しく揺れ始めます。
停電で真っ暗の中、身動きもとれないままでいた瞬間電気がつくと、舞台に置かれていたもとが落ちて割れて、客席が悲鳴が上がります。
舞台はそのまま中止となってしまい、亮平は会社に戻ろうと外へ出ます。
電車が動かず、帰宅難民となった人の中を歩いていた時、顔を上げるとそこには朝子の姿があるのに気づきます。
そして亮平のもとへ朝子は飛び込んできたのです。
寝ても覚めても丨あらすじ 【結末・ラスト(ネタバレ)】
5年がたち、2人は飼い猫とともに暮らしていました。
東北大震災の被災地のボランティア活動をしている2人を、
東北の人々は温かく迎え入れてくれます。
運転につかれ床で眠ってしまった亮平を愛しく思う朝子はそっと頬を寄せたのでした。
ある日、亮平と出かけていた朝子は偶然にも春代と会います。
春代は国際結婚でシンガポール人の夫がいて、その夫の仕事の都合で東京に来たと言います。
久々に会えたことに喜んでいた2人ですが春代は亮平を見て驚愕。
亮平は麦のことを知っているのか?と問いますが、
朝子は「言おうと思っている」と答えます。
そんな中、麦はモデルとして芸能活動を始めていてビルの広告やテレビに出演するなどしていました。
辞令を受け大阪の本社に戻らなくてはいけなくなってしまった亮平にプロポーズを受けた朝子は、
「すごくうれしい。でも、亮平に言っていないことがある」
と答えるのですが、
「そのことか、今更いいよ。前から似ていると言われていた。似てたから付き合ったんでしょ?ラッキーだったと思う」
と答える亮平に朝子は抱きつくのでした。
転勤後に住む家を探しに大阪にきた2に、不動産屋は川のそばにある一軒家を勧めます。
「私、ここが好き!きっともっと好きになる。」という朝子に、
「だといいな。」と答える亮平。
東京に戻ったある日、亮平が婚約した串橋とマヤの2人を連れて帰ってくるのを待っていた朝子のもとにインターフォンが鳴ります。
扉を開けたそこには「迎えに来たよ」とたたずむ麦の姿。
朝子は慌てて扉を閉めます。
すると後日、朝子と亮平の送別会の場に麦が突如現れ朝子に、
「約束した、朝ちゃんのもとに戻ってくると。」と手を差し伸べると、朝子は一切躊躇なく手を取って、2人はそのまま立ち去ってしまいます。
麦のスマホがずっと鳴ってしますが出ようとしない麦に、
「出たら?」と問う朝子に麦は、
「変わりはいくらでもいる」と答え、スマホを投げ捨ててしまいました。
そして追いかけてくる亮平を振り切るように、
朝子と麦は車で走り出します。
マヤから戻ってこいとかかってきた電話に対して、
「わたし戻らないから。亮平に伝えて。」と朝子が言います。
マヤは「もう2度と現れるな!連絡もしてこないで!」と怒って言いました。
朝子はスマホを投げ捨てて、麦に「会いたかった。」と、寄り添うのです。
麦が芸能界でデビューする以前に、北欧で旅をしている時に美しいオーロラを見てきたといい、それを「夢のようだった」といいました。
朝子は「夢…。今まで長い夢を見てきたようだった。幸せな夢。少しは成長したと思っていたけど、何も変わってなかった」とつぶやきます。
麦は優しく「朝ちゃん、眠りな」と言いました。
目を覚ますと、高速を降りて仙台の街中を走っていたところでした。
麦が「海が見たくて降りたのに全然見えない」と言っています。
大きな防波堤が見えました。
朝子は、「帰らなきゃ、亮平のところに。」と呟きます。
麦は引き止めませんでした。この辺りならわかるだろうからと朝子が言うと麦は去っていきました。
朝子はボランティアでお世話になっていた平川さんの仮設住宅を訪ね、事情を話して、お金を借ります。
駅まで送ってくれた平川さんは「馬鹿だなぁ」と心配しているのでした。
そして大阪の川のそばの一軒家の亮平のもとに朝子が帰ってきます。
「帰れ!お前は最低なことをした、いつかこうなると思って怖かった」と亮平が言います。
いろいろあって一緒に飼っていた猫を探していた朝子に、
「無駄なことすんなよ」と亮平が怒鳴り、走り出します。
朝子は亮平を追いかけるのでした。
家の前で朝子は亮平に追いついて
「亮平にあやまりたい。
でも、どんなにあやまってもあやまりきれない、そんなことをしたからあやまらない。許されたいと思わない。
でも亮平といっしょにいたい。顔を見せて、声をきかせて。」
と言います。
家に入った亮平は猫を手渡して、部屋に戻っていきます。
朝子は猫を抱き、ドアノブをそっと回すと鍵がかかっていません。
中に入ると、川を見下ろす亮平の姿がありました。
「俺はおまえのこと、きっと一生信じないぞ」と亮平がいうと、
朝子は「うん」とだけ答えます。
「きったいない川やな」という亮平に、
「うん…でもきれい」と朝子が答えて終わりです。
寝ても覚めても丨見どころ
「寝ても覚めても」の見どころとしては、監督の濱口さんがインタビューで答えているのですが、
小説『寝ても覚めても』の一番の面白さは、
ものすごく精緻なリアリティと歪みが同居しているところ
なのです。
朝子の主観的な視点で奇妙な事が積み重なり、
少しずつ信用できなくなっていくところに「ホラー」だと感じる人もいるようです。
麦という人物も、ぼさぼさ頭でサンダルを履いている。
言葉は標準語で、優しい話し方をするが、
ふらっと出て行って帰ってこなくなってしまったり、
長い期間が開いたとはいえ約束した通り迎えには来たのに、
亮平のもとに戻ると言った朝子を引き止めることなく去っていく。
そんな奇妙で少し理解しがたい存在なのです。
亮平は姫路出身で関西弁で話し、仕事熱心で人当たりもいい。
朝子を温かく包み込む包容力もある穏やかな人物なのですが、
あんなに自分のことしか考えない朝子を受け入れるのもどこか奇妙な気もします。
「この人と付き合い続けていいのかな、もっといい人に出会えるかもしれない」
「今の恋人と、過去に付き合っていた人と比べてしまう…」
そんな自問自答をしたことが誰しも一度はあるはずです。
それがもし、顔は瓜二つだけどタイプの違う人間と出会ってしまったら?
まだ若い未熟な恋愛観の中でそんな奇妙な葛藤に振り回される
それがこの「寝ても覚めても」なのです。
亮平を捨てて麦と逃げる朝子に対して友人が電話で、
「愛情と感情は違うんやね」
という言葉が、朝子の揺れ動く心をうまく表す言葉だと思います。
寝ても覚めても丨感想・評価
現実でも恋をしてしまい不倫となって大きなバッシングを受けてしまった東出昌大と唐田えりかでしたが、
映画だけを見てしまえば、限りなく自然な感情を演技に乗せていると思うと評価に値するのかなぁ、と思います。
濃厚すぎるキスシーンも、実際に恋をしていた2人だからこそ
表現できたのかなと。
奥様からしてみたらとんでもないことでしょうけど、
それだけこの映画に心頭していたのかもしれません。
筆者のこの映画の感想と致しましては一言
「はぁ?」って感じですけどね。
寝ても覚めても丨ネタバレあらすじ、見どころ、感想・評価のまとめ
最後までお読み頂きありがとうございました。
コメント
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