羊たちの沈黙|ネタバレあらすじと感想。タイトルに込められた意味とは?

世界に良い意味でも悪い意味でもショックを与えた映画とは、いくつもあるでしょう。

悪い意味のショックを与えた作品の一つが、1991年公開の「羊たちの沈黙」。

第64回アカデミー賞において主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚本賞)を受賞し、非常に話題になりました。

この名作のあらすじやメッセージ性をネタバレを含めながら紹介していきます。

羊たちの沈黙 ー あらすじ

アメリカ各地で起こる連続猟奇殺人事件(若い女性が殺害され、皮膚を剥がされる)に、FBIの捜査は行き詰っていた。

バッファロー・ビルと呼ばれる犯人は逃走しており、FBIの実習生クラリス・スターリングは事件解決のための任務を与えられた。

元精神科医で収監中の連続殺人犯ハンニバル・レクターから、バッファロー・ビル事件の助言を受けるという任務だが、レクターはFBIへの協力を拒否していた。

しかしレクターはクラリスを試し、彼女に興味を持ったのか、彼女が自分の過去を語ることを条件に出し協力すると言った。

父親を亡くしたクラリスは、農場を営む伯父に2カ月ほど預けられていたことがあり、伯父が明け方に仔羊たちを殺し解体するのを目撃したトラウマがあることを話した。

「今も夢で仔羊たちの悲鳴が聞こえるのか?」とのレクターの問いに、クラリスは頷きます。

レクターから助言を受けたクラリスは事件解決へ進みだし・・・

 

一方、レクターが収監されている精神病院の院長チルトンは、自分の出世のために上院議員とかけあい、レクターを別の刑務所へ移送することにしたが―――

羊たちの沈黙 ー 感想・評価・考察

残虐なサイコパスに迫るとにかく気味の悪い内容ですが、レクター役のアンソニー・ホプキンスの演技に引き込まれます。

ハンニバル・レクターにはモデルとなるジェフリー・ダーマ―という実在の人物がいます。

レクター同様にダーマ―は殺した人を食べていたとのことで・・・

ダーマ―のことを知るだけでも普通の人なら胃もたれすると思いますが、アンソニー・ホプキンスは、きっと並大抵ではないほど研究し尽くさないと役になりきれないと思ったのではないかと思います。

彼は役作りのために猟奇殺人事件の数々を調べ、刑務所で殺人犯を分析したり、目力で人を威圧させるよう瞬きを少なくしたりと、本格的にレクターになりきっていました。

クラリス役のジョディ・フォスターは、クラリスの南部なまりを馬鹿にするアンソニー・ホプキンスの演技に震え上がったほどです。

 

レクターは「物事の本質を探れ」とクラリスに助言をするのですが、ストーリー上だけではなく、この映画の本質を読み取れることがあります。

本作の冒頭でクラリスは、FBIの訓練用トレーニングコースを走るシーンがあります。

そのシーンで映った木には、“HURT, AGONY, PAIN, LOVE IT(苦しみ、もがき、痛み、痛みを愛せ)”という言葉が打ち付けられています。

痛みを愛せとは?

 

バッファロー・ビルにも辛い過去がありそれがトラウマとなっていたが、彼はトラウマを乗り越えられず猟奇殺人犯になってしまった。

クラリスはトラウマを乗り越えようと痛みに向き合い、FBIに入り事件解決に奔走します。

トラウマがあった二人の違った点は、痛みに向き合ったかどうか。

つまり、“痛みを愛し、逃げずに痛みを乗り越えろ”ということでしょうか。

これはいつの時代にも誰にでも響く言葉だと思います。

羊たちの沈黙 ー タイトルに込められた意味とは?

まさにクラリスのトラウマがタイトルに関係しています。

伯父の農場で、悲鳴を上げていた仔羊たちが、殺され息をしなくなったことを意味しています。=「羊たちの沈黙」

彼女は、バッファロー・ビル事件の被害者をあの日の仔羊たちに重ね、事件を解決することよって自分のトラウマを克服しようとしていました。

レクターは、彼女のトラウマとバッファロー・ビルのトラウマの共通点を見抜いていたため、事件解決に貢献したクラリスへ「まだ仔羊たちの悲鳴は聞こえるか?」と言葉を残していました。

興味本位でクラリスのトラウマ話を聞いていただけではなく、心理分析をしてしまうレクターの恐ろしいところですね。

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羊たちの沈黙 ー まとめ

本作は非常に内容の深い作品であり、単純に猟奇的なストーリーで話題になっただけではありませんでした。

・「本質を探ること」

・「痛みを愛し乗り越えろ」

このメッセージは大切にしたいところであり、クラリスのトラウマに向き合う姿勢に元気付けられました。

そういった点を認知した上で観てみると、違った面白さを感じると思います。

しかし、どうしてもレクターの鋭い視線やグロいシーンが目に焼き付くので、苦手な方は夜一人でこの映画を観ることはあまりオススメできません・・・

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