数々の賞にも輝いた、大今良時著の名作漫画『聲の形』が、京都アニメーションの吉田玲子脚本・山田尚子監督の最強タッグによって新たな魅力を加えられ、劇場版アニメーション化された映画『聲の形』。
今回は、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞にも受賞したこの映画を、より鮮やかにブラッシュアップするのに貢献した、aikoによる主題歌、挿入歌、牛尾憲輔の楽曲を編集したオリジナル・サウンドトラックなど…、音楽について解説していきたいと思います。
映画『聲の形』の主題歌、エンディング曲は?
出典:主題歌情報 I 映画『聲の形』公式サイト
『恋をしたのは』作詞・作曲−AIKO /歌−aiko
主題歌であり、エンディング曲としても使用されています。
1998年『あした』でメジャーデビューし、『花火』、『カブトムシ』、『ボーイフレンド』、『キラキラ』等々…、数々の名曲を生み出した稀代のヒットソングメーカーであり、シンガーソングライターのaikoが、この映画のために書き下ろした主題歌です。
“aiko節”ともいえる、独特のメロディーラインは健在ですが、切なさも多分にこもった情感豊かな曲になっています。
映画の世界観とマッチしている2コーラス目の歌詞を書く時には、当て書きしたわけではないが、【頭の片隅に『聲の形』があり、無意識にリンクしていた】と aiko本人も、ORICON NEWSのインタビューで語っています。
歌い上げるのびやかな声には、いつもにも増して優しさと温もりが感じられます。
そこには、「やっぱりこの映画には、この曲がいい」と思い、映画の予告CMを作る段階で決まっていた曲を、直前で変えたというこだわりも含まれているからこそなのかもしれません。
<Comment>
映画「聲の形」の主題歌のお話をいただき本当にびっくりしました!
私は「聲の形」の漫画が大好きで、読んだ時感動して
自分のライブのMCで1巻全部のストーリーを話してしまったほどなのです。
なので、とても嬉しいのと同時にこの映画のそばにずっといられる歌をうたいたい!と強く思いました。
最近1日中気合いが入っています、それが毎日続いています、大変ですがとてもとても幸せです!
本当にありがとうございます!
うわぁああぁーーーーーーーー!!!!!
やったーーーーーーーーーーー!!!!!
すいません・・・取り乱してしもて。。。
是非ともよろしくお願いします!aiko
official website:http://aiko.com/
引用元:主題歌情報 I 映画『聲の形』公式サイト
原作漫画のファンだったaikoが手がけた主題歌は、映画に寄り添って片隅で咲く花のようです。
この曲に合わせるように、エンドロールも印象的です。
背景にはアカシアの花がモチーフになっている黄色い輪が使われています。
映画『聲の形』の挿入歌は?
『My Generation』作詞・作曲−Pete Townshend/歌 −The Who
オープニングテーマとして使用されています。
The Beatles(ビートルズ)、The Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)と並ぶイギリスのロックバンド、The Who(ザ・フー)の楽曲です。
アルバム『My Generation(マイ・ジェネレーション)』のタイトル・ナンバーであり、1965年に3作目のシングルとしてリリースされました。
彼らの代表曲で、広く知れ渡るきっかけになったこの曲は、「年をとる前に死にたい」という歌詞からも分かるように、10代の鬱屈とした感情をストレートに表現しています。
石田将也の小学生時代を表現するのにぴったりだと、山田尚子監督の提案により、オープニングテーマとして採用されました。
ガキ大将だった将也の、退屈することを何よりも嫌い、楽しいことに貪欲で、自分を無敵だと感じる、“無知だからこそ抱ける万能感”と共鳴するものがあります。
また、疾走感を伴うロックなこの楽曲は、映画のスタートダッシュに相応しく、後へと続いていくストーリーへの期待感につながります。
『怪獣のバラード』作詞−岡田冨美子/作曲−東海林修
劇中で合唱曲として使用されています。
最初にコーラスグループ「ヤング101」の曲として、1972年にNHK放送の音楽バラエティ番組『ステージ101』で発表されましたが、今は広く合唱曲として親しまれています。
「海が見たい 人を愛したい 怪獣にも心はあるのさ」という歌詞が印象的なこの曲ですが、この映画劇中での“怪獣”とは、はたして何を意味するのでしょう…。
小学生の将也が心に飼っているものの比喩表現であるかもしれないし、いじめの対象にされる硝子にとって、将也自身そのものが“怪獣”に見えるかもしれません。
はたまた、将也にとっては、聴覚障害を持つ少女=未知なるものである硝子の存在が“怪獣”と感じる、とも考えられます。
流れるのは短い時間ですが、視聴者が各々の聴き方をし、思いを馳せることのできる楽曲使用になっています。
『Invention No.1 C Dur, BWV 772』作曲 −JOHANN SEBASTIAN BACH
J.S.バッハ作曲の、俗に『インベンション』と呼ばれるピアノ練習曲も劇中で効果的に使用されています。
将也が硝子に告げる「君に生きるのを手伝ってほしい」という台詞も印象的ですが、“生きるための練習をする”将也に呼応するように、20数小節の曲である『インベンション』が順番に沿い、折に触れて流れてきます。
将也が次に進む準備ができた時に、この“練習曲“は役目を果たし、音色が止まります。
まとめ
ここまで、エンディング曲を兼ねた主題歌、挿入歌について解説してきましたが、この映画で大きな役割を占めているのが、牛尾憲輔による巧みな音楽です。
<Comment>
はじめまして。音楽の牛尾です。
この作品の音楽を考えると、幼いころから弾いているアップライトピアノを思い出します。私が一番よく知っているピアノです。
木製のハンマーが動く音、消音フェルトが擦れる音、ペダルがきしむ音、鍵盤と爪があたる音。
耳を澄まして弾いてみると、楽音を包み込むこうした雑音はまるで将也たちを包み込む世界のようです。
こんな優しい雑音のように、懸命に希望に手を伸ばす将也たちにそっと寄り添う音楽であったらな、と思っています。
牛尾憲輔
official website:http://www.agraph.jp/
引用元:音楽 I 映画『聲の形』公式サイト
『映画 聲の形 オリジナル・サウンドトラック a shape of light』
●形態A(ジュエルケース仕様)
『映画 聲の形 オリジナル・サウンドトラック a shape of light』
●形態B(紙ジャケット仕様)
出典:音楽 I 映画『聲の形』公式サイト
先に紹介したピアノ練習曲『インベンション』のアレンジもそのひとつですが、牛尾憲輔の手による楽曲群を編集したサウンドトラックも秀逸です。
Disc1は本編使用楽曲で構成。Disc2は劇中音楽に加え、特報用楽曲やスケッチ音源など本編未使用音源を収録しています。
音楽としての音だけでなく、物質としての音、ノイズを含めた音も大切にしているのが、じっくり味わえます。
音楽からも映画『聲の形』の世界観を楽しんでください。
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