あまり詳しくなくても、細田守というアニメ監督の名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?
担当作品は有名なものばかりで、特に長編アニメの「時をかける少女」、「サマーウォーズ」、「おおかみこどもの雨と雪」、「バケモノの子」、「未来のミライ」など手掛け、どれも大ヒットしファンも多いと思います。
その中の一つ「サマーウォーズ」を紹介していきます。
映画『サマーウォーズ』あらすじ
アバターを使ってショッピングやゲーム、行政手続きなど現実世界と変わらない暮らしができるインターネットの仮想世界OZ(オズ)。
世界一安全なセキュリティーに守られているので、世界中のどの国の人々も集い、OZが生活の一部となっていました。
夏休みのある日、高校2年生の健二は、憧れの先輩の夏希に「バイト」を頼まれ、夏希の曾祖母の家・陣内家を訪れる。
曾祖母・栄の90歳を祝うため27人の個性豊かな親族が集まる誕生日会が開かれるのだが、健二は夏希の婚約者役として過ごすことが「バイト」であった。
夜中に健二のケータイに謎のメールが届き、数学が得意な健二は一晩でその暗号を解いて送信するのだが、それが彼の夏休みを一変することとなる。
翌朝、謎の人工知能ラブマシーンにOZが乗っ取られ、交通渋滞や水道管の破裂、緊急警報の異常など現実世界に影響を及ぼす大混乱となった。
その犯人として健二の写真がテレビに映り、陣内家でもパニックに。
日本中の混乱に栄の広い人脈で事態の収束を図るも、彼女は心臓発作で亡くなってしまう。
栄の敵討ちだと燃える陣内家は、スーパーコンピューターや自衛隊の力を使った作戦に出ます。
夏希のまたいとこの佳主馬が実は、OZの格闘ゲームの世界チャンピオンであるキングカズマだったのだが、キングカズマを駆使してラブマシーンを抑え込むことに成功するも、玉砕。
佳主馬が戦意喪失しているところにキングカズマが乗っ取られてしまい、絶体絶命の世界の危機に陥るが―――
映画『サマーウォーズ』感想・評価
一言で言えば、「サマーウォーズ」は、パワフルな陣内家で繰り広げられる近代的な夏の熱い戦の話です。
筆者は何回観ても熱い気持ちにさせられます。
陣内家と連携したキングカズマのかっこいいバトルシーンに、花札勝負、人工衛星が迫る緊迫したラストは目が離せません。
登場人物が非常に多く全員は覚えられないが、陣内家はとにかくみんな個性が強いのでバタバタ騒がしく、それが本作の面白いところでもあります。
しかも、警察庁長官や財政界トップに人脈のある栄を筆頭に、漁師や医者、警察官、自衛隊、高校球児エースにOZの格闘王・・・みんなエリート揃いです。
大型漁船やスーパーコンピューター、自衛隊の通信車両を手配してきたり・・・戦のために権力を振るう陣内家が凄すぎて、いくら真田家の末裔といえど、現実離れ感がすごく良いです。
ひょっこり現れるクールな侘助も、ラブマシーンに関わるようなすごい人物だったり。
もちろん主人公の健二も数学オリンピックの選手をめざすほど数学が得意で、大活躍します。
内気な性格ですが、それが逆に陣内家で受け入れられ、明るく大胆な夏希との関係にも注目です。
映像がキレイなことも見どころです。
個人的には、栄が亡くなったあとに健二と陣内家が広い部屋で悲しみに暮れるシーンが胸を打たれます。
外の朝顔と青空と白い入道雲が鮮やかに描かれている手前で、みんなの落ち込んだシルエットが横に移動していくシーン。
言葉がなくても気持ちが伝わってきます。
また、夏の暑さを感じさせる緑豊かな田舎の景色が、懐かしい日本の原風景を思わせてくれます。
そんな風景の中での陣内家は、長野県上田市が舞台となっていますが、細田監督が奥さんの実家を訪れた際に影響を受けたようです。
風景もさながら、奥さんの親族の繋がりも陣内家のモデルとなるほど監督は感銘を受けたようです。
当時両親を亡くしていた監督にはいい刺激となったようですが、賑やかで楽しいご実家だったのでしょうね。
本作も、家族の繋がりを感じさせてくれる奥深い作品だと思います。
SNSでは感動したという声もが多く、人気の高さがうかがえました。
上田市という地方都市と電脳空間を使った世界の危機が巧く繋がっている。モバイルが発達した近未来感と夏希の実家という田舎感という対比、おばあちゃんの存在感など語るべき点も多い。主人公が世界を救うのはよくあるが夏希の一族が噛み合ってくるのも新鮮だった。
ネット空間という近代的なものと、田舎の懐かしさを合わせているところ、これはまさに同意見です。
全体を通して「動機づけ」が弱いので、説得力に欠ける印象。とくに数字解読や花札勝負は、もっと具体的な描写が無ければ。奇麗に作りこんだ様にみえて、とても表層的。
こういった意見もありました。
またこれを踏まえて観てみようと思います。
映画『サマーウォーズ』まとめ
今もインターネットでいろんなことができるけど、こんな戦いになるような時代がくるのか(きてるのか?)と思うと怖い気もします。
でもOZのような仮想世界も楽しそうなので、そんな未来も早くこないかなと思ってしまいます。
本作は笑いもありながら、手に汗握るバトルとシリアスなシーン、最後には笑って終わるというドタバタしながらの平和な夏を描いています。
夏といえば、と思い出せるような作品かと思うので、何度でも観てみてはどうでしょうか?
コメント