「わたしを離さないで」(原題:Never Let Me Go)は、2011年に公開されたイギリス映画です。
同名のSF小説を映画化した作品。日本でもこれまで2014年に主演は多部未華子さん、演出は蜷川幸雄さん、脚本は倉持裕により舞台化され、2016年には主演は綾瀬はるかさん、脚本は森下佳子さんによりTBS系でもドラマ化もされ話題になりました。
ミステリーともサスペンスともいえないラブストーリーの要素もあるこの映画「わたしを離さないで」は面白いのでしょうか?
- 「わたしを離さないで」の原作
- 「わたしを離さないで」の感想評価
「わたしを離さないで」予告動画
イギリスの田舎に佇む全寮制の学校であるヘールシャム。外界から隔絶された規律正しいこの学校で、主人公のキャシーは”特別な子供”として育てられる。
キャシーはこの学校でルース、トミーとの友情を育み、彼らは18歳になりヘールシャムを巣立つ時がくる。彼らは廃業した農場を利用したコテージで共同生活を送り始める。しかし3人の関係性は壊れ、やがて離れ離れになる。しかし逃れることの出来ない運命により3人は再会する…
わたしを離さないで|映画はつまらない?面白い?理由は?
この映画には”特別な子供”という衝撃的な事実を知った中で彼らがどう生きるのか…引き込まれる作品です。観た人たちの感想はどうなのでしょうか?
映画の内容はいいのに残念な理由
わたしを離さないで。こんなに重くて暗い映画を観たのは久しぶりだ。なんだろ…観進めて行くうちに分ってくるエンディングが嫌過ぎる。テンポとか内容はあくまで凄い良かったんだけどね。
— 伴 治朗 (@__CEP__) June 9, 2012
この物語のテーマは架空な世界に感じる人もいれば、現実に起こりえると感じる人もいます。観る人によって違う見え方がする映画だと思います。この作品の中で主人公たちは生まれてきた目的を知ってしまい、人間らしく生きたいという思いと生きられない間の感情で葛藤していきます。そのシーンは重く受け止められ共感も出来ます。
しかしエンディングには納得がいかないと感じる意見も多い作品です。
わたしを離さないで。。。とても考え深い作品だ。原作本と違い映画は、かなり話が飛ばされている。何故この作品は、分類がラブストリーなのだろう?
— 鎌倉弐百参廿號 (@cno230) May 2, 2012
この映画の原作は2005年に出版された日系イギリス人のサー・カズオ・イシグロさんの長編小説で、イギリス最高の文学賞であるブッカー賞受賞作品です。
この小説は第1章から第23章までの大作です。分類はSF小説のはずですが、核心の部分などの内容は削られています。映画化する上では伝わりやすくしなければならないため、恋愛の部分を全面に出している所もあります。
原作を読んだ方達は物足りなさを感じるかもしれません。また原作と映画の両方を見ることで理解できる部分が多くなる作品です。
この映画は今までにありそうでなかった作品!
ありそうでなかった映画。わたしを離さないで。臓器提供のためだけに生まれ、何度も臓器提供をして、生の意味を理解せずに死んでいく。とっても恐い映画だけど近未来、間違った社会だったとしたら、これが当たり前になっているかもしれない。倫理に訴える作品やった。
— オサレドロボウ (@duckin02) October 23, 2011
この作品で主人公たちは機械的に生み出され、規律を重んじる型の中で育てられます。しかし彼らにも人間としての感情があるという背景があります。
実際の世の中にもクローン技術は開発されていて、臓器売買の話も耳にしたことはあります。現実的に起こらないとは言い切れない内容で、ここまではっきりとは分からなくてもこのような信じられない世界はあると考えられます。また未来にこんな世界の価値観が存在したら恐ろしく感じますよね。
この作品は倫理的なテーマを含んでいる今までになかった作品といえます。
わたしを離さないで|感想評価
この映画はキャストが素晴らしい!
外国映画ですごいなと思うのは子役から大人への移行が自然なとこ。わたしを離さないでもしかり。主人公キャシーは本当にそっくりで驚いた。トミーはもう少し美青年でも良かったけど。
— hodo (@hodohodo63) January 5, 2012
原作読んでたので話の筋は知ってたから、キャストのばっちり感はたまらなかった。あえて言うとトミーのイメージは赤毛で巻毛だったけど、まあよし。イギリスのふつうの田園風景とか曇り空がなんだか良かった。>映画わたしを離さないで
— まゆこ (@mayuyuyuyuyu) April 12, 2011
キャストの方たちはこのイメージとぴったり合います。幼少期のキャシー、トミー、ルースは世間知らずで可愛らしく、純粋な子供たちとして映ります。成長していく中で相手を思いやる感情や嫉妬心も芽生えていきます。青年になったキャシー、トミー、ルースは生まれた境遇から、生きることに対して控えめに見える感じもよく表現されています。
イギリスの美しく、曇り空のシーンが多い田園風景もまた作品に溶け込んでいます。
この映画のマーク・ロマネク監督が凄い理由
マーク・ロマネクが監督した映画版『わたしを離さないで』は、話の細部は結構変えてあるにもかかわらず、カズオ・イシグロの原作を読んだときに目に見えた色あいや雰囲気がそのまま画面に再現されてたのが衝撃だった。
— Aki@LetTheRogueOneIn (@akihiko89) October 5, 2017
「イシグロの世界が完ぺきだから、彼の言葉を変えることは危険だと思った。主人公がいかに優雅に悲しい運命を受け入れるか、その威厳ある姿勢が美しいと思った。西洋、特にアメリカだと『何で主人公は逃げ出さないのか』という質問が多いけど、やはり日本ではそういう質問は出なかった。その意味においても、キャリー・マリガンは見事に“幽玄”を体現してくれた。僕らはみんな原作をとても愛していたから、物語を深く理解しているという自負があった。愚かだと思われるかもしれないけど、絶対にいい映画をつくれるという自信があったんだ」
「わたしを離さないで」マーク・ロマネク監督はカズオ・イシグロさんの大ファンだったことからこの映画化を決めたようです。カズオ・イシグロさんは日本生まれのイギリス育ち。独特な世界観があり、ロマネク監督は日本の文化も勉強されたようで、撮影の現場ではワビ・サビを動詞のように使って、日本の感性や美意識も取り入れていたと語っています。
この作品で脚色担当だったアレックス・ガーランドさんはイシグロさんと10年来の友人だったこともあり、原作の世界観を忠実に汲みとったその構成力はロマネク監督を驚かせました。
監督やキャストなどの制作スタッフがイシグロさんの原作を理解していたからこそ、この映画のトーンや色彩など細部にまで原作の世界観が表現された作品になっています。
わたしを離さないで|映画はつまらない?面白い?理由は?のまとめ
この映画は実は愛することがテーマにあります。人は愛する感情があるからこそ人として生きられるのだと感じます。使命のために生まれたキャシーたちにも愛があるので、運命を受け入れなければならない現実に切なさを感じてしまいます。
この映画はセンセーショナルな内容です。重くて悲しい映画です。しかし教育の怖さと人間らしく生きる意味を問いかける作品でもあります!
この映画のような世界が未来に起こらないように沢山の人に観てもらいたい作品です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
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