3人の若者をめぐって繰り広げられる、「愛」や「生」「運命」を描いたSF映画『わたしを離さないで』。
日系イギリス人小説家のカズオ・イシグロ原作の同名小説をもとに、マーク・ロマネク監督によって2010年に制作・公開されました。
臓器提供のために「生」を受けた少年・少女たちの残酷な運命を描くこの作品は世界中に衝撃をもたらし、イギリス・インディペンデント映画賞をはじめとした数々の賞を受賞しています。
そして、本作はフジテレビ「ミッドナイトアートシアター」にて、10月27日(火)26:20~から地上波放送されます!(一部地域を除く)
今回は、英国最高の文学賞とされるブッカー賞やノーベル文学賞をも受賞したカズオ・イシグロが書く原作と映画の違いについて、また、キャストや登場人物について詳しく見ていきます。
是非最後までご覧ください。
- 『わたしを離さないで』映画と原作の違い
- 『わたしを離さないで』キャスト・登場人物の詳細
- 『わたしを離さないで』出演していた子役の現在
わたしを離さないで|映画と原作の違いは?
原作を再現したかったんだ。読んだときに深く感動し、その感動を誘った作品のメカニズムを映画にも持ち込みたかった。原作への強い愛によって、製作者全員が強い絆で結ばれたんだよ。- マーク・ロマネク
— 映画「わたしを離さないで」 (@watahana_jp) March 25, 2011
途中まで隠されている”提供”、”終了”の意味
もともと原作の小説では、キャシーがすでに「介護をしている大人のキャシー」という視点から物語を語り出します。
映画の始め、手術台に横たわる男性が最後にトミーであるということがわかり、時間軸を遡るという設定は同じですが、
小説でははじめから”提供”や”終了”という単語の意味は書かれていません。
読者はどのような意味かわからぬまま、徐々に”提供”が臓器の提供であることや、”終了”が臓器提供を終え、「生」を終える作業的要素を含む「死」だということに気づかされるのです。
文章を書く手法からも、「わたしを離さないで」が人々を魅了する理由を知ることができますね。
マダムが見た悲しい出来事
本作では、幼いトミーとキャシーが互いに好意をもっていたとき、トミーが学校で行われる「販売会」でカセットテープを買い、キャシーに渡すシーンがありました。
原作では、そのカセットテープはキャシーがもともと自分で持っていたもので、
11歳の時になくしてしまったそれを青年期になってからトミーとともに探しに行くという場面があります。
そして、カセットテープに入っている”Never let me go”という曲にまつわる話が、映画にはない物語でした。
「Baby, Baby, Never let me go(ベイビー,ベイビー,わたしを離さないで)」という歌詞があります。
その音に合わせて、11歳のキャシーは赤ちゃんを抱くように枕を抱いて、子守唄を歌うように口ずさんでいました。―――”自分たちは子どもが生めない”という事実を知らずに。
それを目撃したマダムは、思わず涙してしまうのでした。
運命は決まっているのに、人間の”心”を持った彼女を可哀想だと感じたからこその涙でしょう。
本作のストーリーに加えて、悲しくなってしまうお話です。
”トミーの叫び”の裏側
予告映像にもある、トミーが車を降りて叫び出すシーン。
自分たちの「生」と向き合い、最期が迫りくるとき、魂の叫びがどこからともなく身体を駆け巡り、いてもたってもいられなくなった悲痛の苦しみを観ている人々に印象付けます。
原作では、キャシーとともに落ち着いたあと、車に戻って2人が会話する場面がありました。
しかし、「もしかしたらトミーは、その時すでに心の底で、こうなることを知っていたのではないか」と思ったのです。
それをトミーに伝えると、「そうか」と納得します。
自覚と無自覚の狭間で、幼い自分たちが悩んでいたことに気づいた瞬間でした。
原作では、映画で描き切れなかった深い部分が細かく表現されていることがわかりますね。
では次に、『わたしを離さないで』に出演するキャストの詳細や、主人公たちを演じていた子役の現在について見ていきたいと思います!
わたしを離さないで|キャスト登場人物紹介
彼女(キャリー•マリガン)の演技は、外見上は必要最低限度のものだが、そこで発散されるものは深遠なものだ。-マーク・ロマネク(監督)
— 映画「わたしを離さないで」 (@watahana_jp) March 19, 2011
主なキャスト・登場人物一覧
役名 | 出演者 | 日本語吹替 |
キャシー | キャリー・マリガン | 三ッ木勇気 |
キャシー(子ども時代) | イゾベル・ミークル=スモール | 安武みゆき |
トミー | アンドリュー・ガーフィールド | 石母田史郎 |
トミー(子ども時代) | チャーリー・ロウ | 竹内順子 |
ルース | キーラ・ナイトレイ | 弓場沙織 |
ルース(子ども時代) | エラ・パーネル | 嶋村侑 |
ルーシー先生 | サリー・ホーキンス | 山像かおり |
エミリー先生 | シャーロット・ランプリング | 弥永和子 |
キャリー・マリガン(役:キャシー)
トミーとルースが結ばれたときにも邪魔をせず、控えめな性格の主人公・キャシーを演じたのはイギリス出身の女優キャリー・マリガンさんです。
1985年生まれの35歳(2020年10月現在)で、2004年から舞台女優として活動をされています。
どこか儚げで可愛らしい顔立ちでありながらも、劇中ではさまざまな思いに葛藤するキャシーを見事に演じきっていますよね。
もちろん、演技の実力は各界から折り紙付き。
2009年公開『17歳の肖像』で英国アカデミー賞主演女優賞を受賞しているほどです。
現在5歳になる娘さんがいるということで、最近ではあまり頻繁に表舞台に出てきていないようですが、今後の活躍も楽しみな女優さんです!
アンドリュー・ガーフィールド(役:トミー)
アンドリューガーフィールドはなんでも似合うけどこのスタイリングは歴史的快挙 pic.twitter.com/oyiaDqVUUj
— 志 (@aktf_wcbh) July 31, 2017
キャシーやルースに気持ちを揺さぶられながらも、自分の「生」と向き合い成長していくトミーを演じたのは、イギリスの俳優 アンドリュー・ガーフィールドさん。
1983年生まれの37歳(2020年10月現在)で父親はアメリカ人、母親はイギリス人ということで、二重国籍を持つ俳優の中でも珍しいバックボーンをお持ちの方です。
そして、彼の主な作品と言えば、言わずと知れた2012年~の『アメイジング・スパイダーマン』でのピーター・パーカー(スパイダーマン)!
子どもから大人までワクワクさせてくれるスパイダーマンは、また本作とは違うアンドリューさんの魅力を引き出しています。
キーラ・ナイトレイ(役:ルース)
キャシーに対する嫉妬や独占欲から、主人公3人の関係を変化させていったルース。演じたのは、イギリスの女優キーラ・ナイトレイさんです。
1985年生まれの35歳(2020年10月現在)で、1993年にドラマ「Bally kiss angel」でデビューを果たして以降、映画やドラマで活躍しています。
なんといっても彼女の特筆すべきはその容姿!
本作ではメイクなど控えめに、後半では弱々しく華奢な女性を表現されていましたが、写真で見てもおわかりいただける通り、本当に華のある綺麗な顔立ちをされています。
女優として賞も数々受賞しており、その美貌を活かしてますます素敵な変化を見せてくれそうです!
主人公3人を演じた子役の現在は?
また、主人公たちの子ども時代を演じた子役の方々も気になったのではないでしょうか?
3人とも可愛かったですよね!それぞれ、現在も活動を続けている様子です。
キャシーを演じたイゾベル・ミークル=スモールさんも、2017年ごろまでツイッターを更新されていました。
Driving for the first time! #watchout pic.twitter.com/NxOizSeoBZ
— Izzy Meikle-Small (@Izzy_Meikle) March 22, 2013
こちらの画像は2013年のものですが、すっかり綺麗なお姉さんになっていますよね!現在の姿も綺麗に違いありません。
また、ルースの子ども時代を演じたエラ・パーネルさんは24歳(2020年10月現在)となり、こちらも素敵な女性に成長していました!
そして、トミーを演じたチャーリー・ロウさんも、ツイッターを現在も利用しているようです。
Lovely meeting you, thanks for the malteasers x https://t.co/ns5lRMV66N
— Charlie Rowe (@Charlie_Rowe) September 5, 2018
若いころのあどけなさを残しつつ、スマートな青年に成長していますよね!
チャーリーさんは2019年公開の映画『ロケットマン』にも出演し、俳優としても活躍されていました。
わたしを離さないで|映画と原作の違いは?キャスト登場人物紹介のまとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は、現実で起きていたらと思うと背筋が凍るような内容ですが、どこか人間味を感じ、人々を映し出す鏡のようなものを登場人物それぞれが持っています。
日本でも2016年にTBSにて、綾瀬はるかさん・ 三浦春馬 さん・水川あさみさん出演で同名ドラマ化。
残酷であるにもかかわらず、人々を惹きつける不思議な力を持つ作品になっています。
是非本作や原作とも見比べて、違った面白さや見どころを発掘してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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